被災直後の熊本聖書キリスト教会

2016年4月14日午後9時16分、熊本市を震源とする震度7の大地震が発生しました。その28時間後の16日午前1時25分に、片付けやこれからの対応に追われながら不安な一日を過ごした住民さんたちを再び震度7の揺れが襲いました。2度の大きな揺れに見舞われた熊本市、特に震源域の益城町では壊滅的な被害が発生しました。
九州キリスト災害支援センター(以下・九キ災)は4月18日に熊本地震の被災地支援にあたるために発足しました。物資支援や炊き出しなどの緊急支援に始まり、避難所支援、作業支援などを継続するうちに、益城町とのつながりも強くされ、20年12月まで建設型仮設住宅の自治会サポートの業務委託事業にも携わりました。
この5年間で日本国内、また世界中から1万2千737人のボランティアの皆様が集まってくださり、千644件の作業を行いました。現地での働きの背後に多くの支援金や支援物資があったこと、何よりも祈りが積まれたことにも、ただ感謝するしかありません。

震災から1年後の益城町の様子。まだ至る所に倒壊した家々が点在していた

この5年間で神様は私たちに何を示してくださったのでしょうか。災害が発生すると私たちは「なぜ」に目を向けたくなります。なぜこのようなことが起こるのか、なぜ悲しみや痛みの中に私たちはいるのか、と。このことをいちばん感じてきたのが、被災地の住民さん(私たちは地元住民の皆様のことをそう呼んでいます)ではなかったかと思います。そのような方々に私たちができることなど何もありませんでした。私たちはただそこにいて、目の前のできることを多くの助けをいただきながら、取り組んできたのです。ただ、主に信頼して進んできた5年間でした。
決して美しいことばかりではありませんでした。しかし、そこには主の大きな恵みと祝福が確かにありました。益城町にある二つの教会、木山キリスト教会と熊本東聖書教会は、地震による大きな被害を受けながらも、九キ災と共に地域の方々のために祈り歩んできました。
今では、地域の方々と深い絆でつながり、また教会間の交わりも与えられ、これからの働きに大きな希望の光が灯(とも)されています。住民さんは、「九キ災とのつながりがなかったら、多くの人たちが独りで不安な日々を過ごしていたでしょう。仮設住宅での交わりが生きる大きな力につながりました」と言ってくださいました。今、益城町にある九キ災熊本ベースでは住民さん、地元教会の皆さん、そして九キ災スタッフとの楽しい会話が弾んでいます。

地震でがけ崩れを起こした山腹

昨年の九州豪雨においては、コロナ禍での災害支援という、とても困難な道を経験しました。しかし、この5年間のつながりが生かされ、熊本チャーチネットワークや各支援団体との連携がなされ、キリストの身体としてのネットワークを感じました。さらには益城町の住民のみなさんも共に支援活動をしてくださいました。このようなことを経験する時、「なぜ」にとらわれずに、すべてを益としてくださる神様の恵みを喜びたいと思うのです。
仮設住宅が閉じられ、熊本地震の支援活動は大きな区切りを迎えました。しかし、仮設住宅にあった「みんなの家」はもうありません。住民さんはそれぞれの場所でそれぞれの歩みを進めていかなければなりません。そこには喜びもある一方、大きな不安と恐れ、孤独が待っているのです。
私たちができることは変わらずそこに居続けることだけです。私たちは神様とのつながりこそがその孤独を真の平安へと導く道だと知っています。教会がこの地で一層の光を放つように祈りたいと思います。