永井氏「ネットとネットつながりキリストの身体に」 集まりの中に安心、信頼を 災害前の信頼関係が災害時に大きく関係 キリスト全国災害ネット第3回会合

首都圏直下型地震、南海トラフ地震など、今後予想される地震や津波などの大災害に備え協力するための全国ネットワーク「キリスト全国災害ネット」(略称・全キ災)の第3回会合が4月20日、Zoomによるオンラインで開催。新加盟4団体を含む31団体から42人が参加。世話人代表の北野献慈氏(キリスト教会・広島災害対策室室長)の挨拶、永井敏夫氏クラッシュ・ジャパン理事)の奨励、草井琢弘氏(岡山キリスト災害支援室〔岡キ災〕室長)の報告とスタッフの証し、グループディスカッションなどがあった。【中田 朗】

オンラインで行われた第3回会合

最初に北野氏は「この会が実りあるものとなること、互いのことを分かち合い、全キ災がどのように皆さんと協力し、よりよいものにしていくか、意見交換できればと願っている。ほとんどが災害支援の経験が豊かな方々なので、顔と顔を合わせ、知り合い、信頼関係を築くことが何よりの備えになる」と語った。
永井氏は「『キリスト全国災害ネット』という名称を見るたびに、さらに〝全〟と〝災〟の間に〝キ〟があるのを思う時に、キリストが先導者、導き手であり、キリストを中心とする団体であることが思い起こされる。また世話人の方々は集まる人たちが一つになることをとても大切にしながら動いておられる。ノウハウ、経験を持っておられる皆様の集まりの中には、安心、信頼が一番だ」と語る。
その上でピリピ1章3~6節を引用。「ここには『思う』『祈る』『感謝』という関係性を現わす言葉が書かれている。また『~たびに』という言葉にも目が留まった。これは一過性ではなく継続性のことを言っている。また『ともに』という言葉。細胞と細胞がつながって筋肉になるように、ネットワークとネットワークがつながってキリストの身体が構成されていくイメージを、私は全キ災に持っている。イエス様の愛がクリスチャンでない方々にも見える形になるように、この全キ災の働きがあると思っている」と語った。

永井敏夫氏

草井氏は、2018年7月の西日本豪雨災害に伴う岡キ災立ち上げの経緯と、3月に閉所した被災地・被災者支援のための施設「まびくら」について語った。
草井氏は「岡キ災は県下にある福音派の教会を中心とする教会協力のネットワーク『岡山県宣教の集い(県宣)』を母体に立ち上がったが、岡山県は災害が起こらない地域だったので、思いがけない災害に対応が遅れ、外部からの問い合わせにも戸惑った」と明かす。キリスト教支援団体『ハンガーゼロ』による決断の促しもあり、7月13日に緊急会議を呼びかけ、岡キ災を設立。「三役に草井と吉岡創、中島啓一が立った。私たち三役は委員長のトップダウン型でなく、三者三様が用いられた協力型だった。立ち上げ直後の3日間は、問い合わせの電話とメール対応に追われた。その後国内外から多くの災害支援団体が視察に訪れ、その直後から多くのボランティアと支援金が送られ、必要以上に人材と経済が満たされた」と証しした。
同年12月から中長期の支援に向け、「まびくら」で、居場所づくり支援、子ども支援、仮設住宅支援を三本柱に活動開始。「日本基督教団東中国教区から共同支援活動が持ちかけられ、『まびくら』の物件費用は東中国教区、活動費用は岡キ災が持った。また、これまで協力関係にあったYMCAせとうちも加わり、子ども支援を担ってくれた」

草井琢弘氏

今後の活動として、▽「まびくら」は閉所したが岡キ災は継続、▽東中国教区から今後も岡キ災と活動を共にする旨が伝えられた、▽YMCAせとうちは真備で子ども支援継続予定、▽コロナが収束したら、真備で対面した人たちと感謝の時を持ちたい、などが挙げられた。
また、ハンガーゼロのボランティアとして参加し、後に岡キ災のスタッフとなり、18年クリスマスに広江聖約キリスト教会の吉岡牧師から受洗、20年11月でスタッフを退職し、現在、一般の会社で働く茂木俊哉元スタッフの証しもあった。

(この後、グループディスカッションが行われます。2021年5月9日号掲載記事