『新しい憲法 明るい生活』を手に話す山口氏

日本長老教会社会委員会主催のヤスクニ学習会「若者と考える教会と憲法」が5月4日、Zoomによるオンラインで開催された。山口陽一氏(東京基督教大学教授)が講演した。

山口氏は申命記17章14~20節を引用し、「ここには『馬を増やさず(軍縮)』、『二度とこの道を戻らず(歴史の反省)』『多くの妻を持たず、金銀を過剰に保有するな(足るを知る)』と、神が選ぶ王が神の律法に従って統治すべきことが書かれている。日本国憲法はそれには全く及ばないが、滅ぶばかりの経験の中で与えられた日本のあり方であり、いまもなお前途洋々の誇るべき憲法だ」と語る。

特に憲法9条については、「憲法学者の深瀬忠一は、『日本国憲法の最も深く力強い思想的基盤は、イザヤの予言にあると考えざるを得ない、「主は国々の間をさばき、多くの民族に判決を下す。彼らはその剣を鋤に、その槍を鎌に打ち直す。国は国に向かって剣を上げず、もう戦うことを学ばない(イザヤ2・4)」』と言い切っている。森島豊は、植木枝盛、吉野作造、鈴木安蔵のラインに注目し、自由民権運動を通してキリスト教の影響を読み取った」、「宮田光雄は『山上の説教』を《責任倫理》でなく《心情倫理》だとするM・ウェーバーに反対し、『八福の教え』も『愛敵の教え』も《責任倫理》だとし、『山上の説教から憲法9条へ 平和構築のキリスト教倫理』を提起している」とし、「これらの言説は、憲法9条が『神の国』にふさわしい憲法であると言っている」と語った。

一方、2012年の自民党憲法改正草案、米国の戦争に加担するための安全保障関連法成立など、憲法9条を変えようとする安倍前政権の一連の動きを振り返るとともに、直近の動きとして5月6日の衆議院憲法審査会で国民投票法改正案採決の可能性がある点を懸念。「安倍前首相は日本国憲法を『みっともない』と言ったが、そう言う人々の手で日本国憲法を汚させてはならない」と力を込めた。(5月23日号で詳細)