ユダヤの五旬節「シャブオット」祭りの頂点で民族の謙虚さ現わす
五旬節背景にユダヤの祭シャブオット 祭りの頂点で民族の謙虚さ現わす シオンとの架け橋
ペンテコステ(五旬節)の時期は、旧約時代に由来するシャブオットの祭りを背景にする。イスラエル情報を発信しているキリスト教団体「シオンとの架け橋」の定期集会が「ユダヤの祭シャブオット─旧約聖書から見たペンテコステ」をテーマに5月16日、オンラインで開催された。ユダヤ人がユダヤ人としてイェシュア(イエス)を礼拝するための働き「ネティブヤ」設立者のヨセフ・シュラム氏が講演した。
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シャブオットは過越の祭から50日を迎える日没から始まる。小麦の収穫の時期であり、収穫物の初物を捧げる。出エジプト後50日後に律法(トーラー)が与えられたとする伝承もある。
シュラム氏は申命記26章5節の初物を捧げる場面を引用し、「盛大な祭のクライマックスで『私の父はさすらいのアラム人でわずかな人数』と述べるのは謙虚な姿だ。私たちは、はじめは一人であり小さな家族だった。能力や可能性を誇るのではない。抑圧され迫害され、何もできないから祈った。神は憐れみをもってエジプトから連れ出し、乳と蜜の流れる地に導いた。ユダヤ民族は小さな民族だ。私たちの特権は、神が与えたものを表しているだけ」と語った。
「武士道」との共通性も指摘した。「武士道には、自分の手柄ではなく、心からの謙虚さが表れている。天地創造をされた神にすべてを帰すことに通じる精神がある。神に捧げるのは神にお返ししていること。私も日本の兄弟姉妹からインスピレーションを受けてきた。ぜひ神様の栄光のため、神の国のため、生きてほしい。神が約束されたイスラエル、ユダヤ、そして日本、諸国民のために、シオンからの祝福を祈っている」と語った。
(在イスラエルレポーターからも報告があります。2021年6月13日号掲載記事)
現在のシャブオットの紹介があった。中世頃からの伝統で、夜通し律法を学ぶ。また小麦の収穫、律法の主題である恵み、律法の普遍性、ダビデの生誕と関連してルツ記の朗読がされる。乳製品を食べる日としても知られる。
現在エルサレムでは様々なシナゴーグで夜通しの学び会がある。世俗的なテルアビブの文化センターでも、ラビと世俗の学者の対談や現代的なテーマのセミナーが開かれている。
「神殿喪失後、ユダヤ人の主要産業は商業になり、初物をささげる収穫祭より、律法授与祭の要素が大きくなった。19 世紀以降、イスラエル定住者たちが、神から与えられた土地で生きることを重視し、農業、畜産業が盛んになった。それに伴い、農産物をもってのパレードなど収穫祭の要素も回復している」と説明した。