なんで教会がツライのか 考えてたら出来た 性理解 のための ブックレット

写真=ブックレットを作った約束の虹ミニストリー
代表の寺田留架(てらだるか)さん

居場所がない気持ち「知ってほしい」 と 当事者クリスチャンら

今春発行された『なんで教会がツライのか考えてたら出来た性理解のためのブックレット』(エメル出版、税込500円)が反響を呼んでいる。キリスト教の中に性的マイノリティの居場所を回復する働き「約束の虹ミニストリー」が、自分たちが教会で経験してきたつらさを基にカラーイラストで分かりやすく説明した。

5月27日、焚き火塾共催のオンライン「教会とLGBTを考えるブックレット読書会」で同ミニストリー代表の寺田留架さんが、ブックレットに託した思いを語った。寺田さんはトランスジェンダー。戸籍は女性だが物心つく頃から性別違和があった。福音派の教会で育ち、いろいろな人との出会いを通して「僕のセクシュアリティを神様に反抗するために勝手にねじ曲げてるわけじゃないし、神様の失敗でもない。神様の目的のために意図がある。その状態で幸せに生きられるように神様は用意してくださっている」と確信した。

「LGBTの人たちはずっと、教会の中で自分たちはないことにされてきた」という。「カミングアウトすれば、罪だから悔い改めなさいとか病気だから癒やされるようにと言われ、傷ついて教会を去ったり、隠し通すしかないと自分を押し殺して生きざるをえない」

ブックレットにはそんなLGBTの人たちの体験が生かされている。多くの教会は「どなたでもお越しください」と掲示するが、その「どなたでも」の中にLGBTの人は想定されていないので、不用意な言動が当事者を傷つける。ブックレットは「見えないトゲ」がある教会の例として、カミングアウトすると本人に無断で人に話す、名簿などの男女分け、説教の言葉、治すべき病気や改めるべき問題だと決めつける、などを挙げる。

同性愛は罪と教えられてきて戸惑ったり、差別したくないが生理的に嫌悪感を感じるという人にも理解を示し、そのままでも敬意をもって接する仕方を勧めている。保守的な考えだったがLGBTの人たちとの出会いを通して変わったという証しや、「もしカミングアウトされたら?」は実際的。他にセクシュアリティに関する基礎知識も載っている。約束の虹のウェブサイトから入手できる。