この国はどこまで沖縄を差別するのか 辺野古ハンストに連帯 宗教者らが集会
沖縄県名護市辺野古で進む新基地建設の埋め立て工事に、沖縄戦戦没者の遺骨が多く含まれている可能性がある沖縄本島南部の土砂を使わないよう訴え、ハンガーストライキを続ける具志堅隆松さんに連帯する宗教者、市民らの集会が、沖縄慰霊の日である6月23日に、東京都の参議院議員会館で行われた。具志堅さんも糸満市の平和記念公園にある「平和の礎」から、オンラインで語りかけた。
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「具志堅隆松さんのハンスト行動に連帯する東京行動」を呼びかけたのは、「日本カトリック正義と平和協議会」「平和を実現するキリスト者ネット」「基地のない沖縄をめざす宗教者の集い」「平和をつくり出す宗教者ネット」。
集会は、沖縄戦で亡くなった20万人の犠牲者を覚えて黙祷したのち、主催者代表として金性済(キム・ソンジェ)氏(日本キリスト教協議会総幹事)が挨拶。「この問題を無視するなら宗教者の存在理由が問われる」「政府は、戦没者遺骨収集推進法を制定し、国の遺骨収集の責務を謳(うた)ったにも関わらず、この問題を、現地の行政と業者と市民運動の中の軋轢(あつれき)にすり替え、責任を放棄している」「このようなことを許すなら、日本の社会の精神構造の根幹が崩れていく」と訴えた。
具志堅さんは、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表。39年間遺骨を収集してきた。3月にも沖縄県庁前でハンストを行い、今回は6月19日から沖縄戦慰霊の日まで続けた。極度の疲労が見える中、参加者からの質問に答える形で「多くの遺族が訪ねてくれ、一般の人も声援を送ってくれ、勇気付けられている」「国の非人道的な計画を断念させたい」「遺骨がまだ残る南部の土砂を埋め立てに使うのは、戦没者への冒涜」と語った。
沖縄戦遺族を代表して、東京都荒川区の小谷野浩さんは、「戦没者の遺骨は国のものではなく、遺族のもの。遺骨は土砂ではなく、人間の尊厳の形そのもの。戦没者は日本人だけではない」と訴えた。
具志堅さんに連帯する若者、国会議員、市議会議員、協賛団体からのメッセージの後、最後に閉会挨拶に立った比企敦子氏(日本キリスト教協議会教育部総主事)は、「日本は差別に敏感な世の中でありながら、沖縄差別は意識されていない。遺骨まで冒涜するとは、この国はどこまで沖縄差別を続けるのか。その原因の一つは、沖縄の歴史を学校で正しく教えていない、教育の問題にある。できることは限られているが、それぞれの分野で努力したい。命の大切さを子供たちに指し示していくことができるような活動を一緒に続けていきたい」と語った。