【沖縄だより】特別支援学校開校 署名受け取り拒否から実現までの道のり
那覇市初 知的障がい児の特別支援学校開校 設立要請活動に現された主の御業
写真= 那覇みらい支援学校
来年4月、那覇市で初めての知的障がい児の特別支援学校「沖縄県立那覇みらい支援学校」が開校する。設立要請活動に尽力した那覇福音自由教会の譜久島一成(ふくしま・かずなり)牧師による、実現に至る経緯と、そこに働かれた主の御業(みわざ)を証しするレポートを紹介する。譜久島牧師は「特別支援学校に就学する児童生徒の那覇市在住保護者の会」代表、沖縄県特別支援学校PTA協議会参与を務めている。当初は集めた署名さえ、行政から受け取り拒否をされたほど苦労を重ねた活動だった。
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「知事は署名を受け取らない」。議員から第一報を受けた時、耳を疑い途方に暮れた。
「署名すら受け取らないのか」
沖縄県特別支援学校PTA協議会(沖特P)の先輩が、那覇市に特別支援学校(特支)を作ってほしいと要望を始めて約10年、今回は2万筆の署名も集めた。だが、いきなり門前払いを食わされた。
沖縄県は人口約145万人。那覇市が約30万で最も多い。必然的に障がいをもった子も多いのだが、那覇市に知的障がいの特支は一校もない。そのため障がい児は遠く離れた那覇市外に通っていた。「那覇市に特支を!」それは多くの保護者の悲願だった。
それにしてもなぜ知事は受け取らなかったのか? ある県議に私は怒られた。「あなた方はなんと愚かなのだ。まず私たち与党に話を持ってくれば可能性はあったものの馬鹿なことをしたものだ」と延々約30分ほど説教された。私たちは自民党議員を通して要請したのだが、沖縄で自民は野党、知事は与党のオール沖縄で、そこを間違えたという指摘だ。良い提案なら与野党関係ないと思うのだが、現実は違った。
また自分の傲慢(ごうまん)に気付かされた。「私のバックには2万筆の署名がある。これを断るわけにはいかんでしょ、議員さん」と高飛車な思いがあった。
おかげで翌日以降、他の議員にお願いする際は「どうか子どもたちのためにお願いします」とへりくだった心ですることができた。神様はあらゆる人を通して教えてくださり整えてくださる。
さて出だしから大きくつまずいた特支設立要請活動だが、当初私を含めて誰一人、実現するとは思っていなかった。ところが結論から言うと要望が通り、2022年4月に開校する。文字数制限のため主の御業のごく一部をシェアしたい。それは人材配置だ。
この時、県の教育長は特支に対して歴代のどの教育長よりも理解のある人だった。彼のお子さんは障がい児だった。さらに県の教育委員会には筋の通ったクリスチャンがおられた。連日テレビのニュースに取り上げて世論を後押ししたキャスターは受洗経験があり、その方のお子さんも障がい児だ。
つまり要請する側、受ける側、世論を動かす側、全てにおいてクリスチャン、もしくは理解の深い方が重要ポストにおられた。数年ずれると、これらの組み合わせはなかった。まさに神様の人材配置だ。
ヨシュアをはじめイスラエルの民がヨルダン川を渡ろうとした時、神様ははるかかなたで既に水をせき止められていた(ヨシュア3・16)。民が一歩を踏み出す前から、見えないところにおいても主は準備をしてくださっていた。100%信じきれない、不安と恐れの方が強い、失敗だらけだ、仮にそういう者だとしても、最善を成してくださる主にゆだねて一歩踏み出した時、主は御心を成してくださった。今回も同様だ。主は私たちの知らないところで既に準備をしてくださり整えてくださっていた。だからできた。
私達の道を整えてくださっている主、その道をこれからも進ませていただきたい。
(クリスチャン新聞web版掲載記事)