【三浦綾子生誕100年】三浦綾子読書会20年「作品にはまだまだ大切な役割がある」
三浦綾子読書会20年 人間の現実と救い描く 尽きないメッセージある
20周年記念誌
三浦綾子が亡くなったのは1999年。だが作品に心打たれた人の輪は広がり続ける。2001年に発足した三浦綾子読書会は現在地域読書会が全国122、海外5を数え、朗読、短歌、美術、語り手講座、研究という特色ある部門も設けられた。
同会発起人で現顧問の長谷川与志充さんは、「三浦綾子の作品の内容は多岐にわたっていて、今も受け取るべきメッセージがある」と話す。「映画化が進む『泥流地帯』では災害が描かれる。戦争、平和というテーマも多くの作品で大切にされている。様々な切り口があるが、最終的な関心は究極の救い。具体的な物語を通して人間はどういう存在か、どのようにして救いが与えられるかが描かれる。綾子さんが残した本にはまだまだ大切な役割が残っている。ぜひ手に取って読んでもらいたい。そのために読書会を用いてもらえればと思います」
コロナ禍で集会開催が難しい中、オンライン対応もしている。そもそも同会がネットワーク化されたのはインターネット時代ならではのことだった。1990年代後半から三浦綾子に関する様々なサイトやグループができていた。現在Zoomを使った集会では地域をこえた人々が集まることが可能になった。
現在同会では三つのオンライン集会を連続開講している。「ゆっくり読む『天の梯子』読書会」は同会代表の森下辰衛さんが司会。昨年8月から毎月開講し、三浦綾子による信仰入門書『天の梯子』全12章を1年かけて輪読する(自由献金)。長谷川さんによる三浦綾子文学講座は2月から隔月に開催。読書会20年を機に今年から3年かけて代表作をもとにしたメッセージを行う(一回2千円、DVD各2千500円)。4月からは長谷川さん、森下さんに加え、元秘書の宮嶋裕子さん、さらに新たに語り部活動を始めている近藤弘子さんによるオンライン講演会が始まった。
20年を機に記念文集(千200円で頒布)もまとめた。各地域・部門から102人が寄稿し、それぞれが三浦綾子作品との出会い、集会の立ち上げや運営について語っている。「この記念文集を通して三浦綾子読書会について知っていただけたら。読書会を立ち上げるための参考にもなる」と勧める。
「もちろん三浦綾子読書会に加入しなくても三浦綾子の読書会はできる。実際いくつもそのような活動をしている教会があるし、大いにやってもらいたい」と話す。「三浦綾子の小説『ちいろば先生物語』の主人公である榎本保郎牧師は、アシュラムセンターの開所式で『目標はアシュラムセンターを解散すること』と言ったという。それはアシュラム運動が普及して、日本で当たり前の存在になるという意味。三浦綾子読書会もそこまで普及させられれば」と語った。
三浦綾子読書会に加入するメリットも語る。「全国の情報を知れる。全国読書会のリストに掲載でき、宣伝にもなります」
同会や、オンライン講演会、記念文集についての問い合わせは℡090・6226・910
2、Mail toyoshi@io.ocn.ne.jp(長谷川)
次世代の宣教、信仰の成長に有益
次世代についても語った。「私は34歳でこの働きを始め、それから20年がたつ。今回Zoomを導入したことで、一回り下の世代の人も参加するようになった。20~30代のために、『道ありき』をプレゼントする企画を年2回献金を募って実施している。ご希望の教会には贈呈できます」
若い牧師が開拓伝道を始めたある教会では、月一回三浦作品についてオンラインでメッセージをしている。「そもそも私も教会開拓の働きで、三浦綾子読書会を始めた。初心に帰る思いです」
「三浦綾子の作品は、クリスチャンにとっても生き方の学びになる。静かなリバイバル運動だと思う。小さいときから聖書の話を聞いていても、それがなかなか自分の人生と重ならない。そのようなとき、三浦作品から学ぶことがある。その意味でも教会で活用してほしい。読書会までいかなくても、本をプレゼントするだけもでもいい。短い言葉を選んだ小冊子などもこれから活用したいと思います」
「クリスチャン二世、三世の人は、神様がいない世界で生きる気持ちが分からないということもある。三浦作品では、人間の思いに寄り添って、心の描写を丁寧に描くので、クリスチャンではなかった人が信仰を持つ過程を学ぶこともできる。人は一気に信じて救われるということではない。まず知ることから始まり、疑問を持ち、だんだん理解し、受け止めていきます」
最後に今後の読者に期待してこう語った。「20年たったが私たちもまだまだ綾子さんのメッセージを受け止めていないかもしれない。さらに多くの人が作品を読み、いろいろ引き出してもらえたらと思います」
4月23日には三浦綾子読書会20周年&三浦綾子生誕100周年記念集会をオンラインで開催する。詳しくは三浦綾子読書会ホームページで。https://miura-ayako.com/