「神を、国を、隣人を愛す」全国の教会に仕え、リバイバルを 金子道仁さん
まず、今回の活動に至った経緯について教えてください。
24年間、兵庫県川辺郡猪名川町にある地方教会の牧師として仕えさせていただき、本当に神様から祝福を受けてきました。教会のメンバーは幼児から高齢者まで幅広くいますが、若者はチャーチスクールで訓練を受け、彼らが福祉や教育の働き人として遣わされています。教会の老人ホームには30人が生活し、うち7割がクリスチャンでない方たちです。しかし、「最期まで一緒にいさせてほしい」と言ってくださる方がたくさんいます。本当に愛の共同体が築かれているなと思います。
しかし、ちょっと外に目を向けてみると、無牧・兼牧教会、教会閉鎖が急速に増えているなど、日本の教会が大変な状態になっているのを見聞きします。ヒゼキヤ王は「自分が生きている間は平和と安定がある」(Ⅱ列王記20・19)と告白しました。私たちは自分の教会、自分が生きている世代が良ければいいと思いがちです。でも、もし他の教会が痛んでいるなら、私たちの痛みとして受け止めなければいけないのではないか、このままでは日本にリバイバルが来ないのではないか…。そんな切羽詰まった思いから、全国の地方教会のために仕える働きをしていくべきではないか、そのような主からの語りかけに信仰を持って応答をしたのがきっかけです。
教育と福祉の点から「地方創生」を提言されていますが。
私はチャーチスクールの働きをする中で、主の教育、愛を受ける教育、御言葉によって成長することの大切さを学びました。チャーチスクールには学習障害、発達障害など、様々な理由で不登校を経験した子どもたちも来ていますが、彼らの多くは自分には価値がない、普通ではないという負の感情で苦しんでいます。でも、教会にはそういう子どもたちを、アガペの愛を持って受け入れてくださる人がたくさんいます。子どもたちは、公立、私立の学校に行けなくてもチャーチスクールには来られます。もし、教会が教育の場になれるのなら、子どもたちに「不登校」というレッテルを貼らずに済みます。将来、国全体が多様な教育を提供しようとする時、まず教会が手を挙げ、学びの場、子どもたちの居場所を提供してほしい。そのために、行政との橋渡しをしていきたいのです。
高齢者福祉は国全体が抱えている課題です。私たちは福祉の現場の働き人として、国の制度を見ながら、どうやったらこの課題を克服できるのか模索してきました。少子高齢化で社会保障の維持が難しくなってきている中、どうしたら高齢者を守っていけるのか考え、限られた資源を共有していかなければならない時代です。そういう中で、教会が、アガペの愛を持つクリスチャンが地域福祉の働き人として手を挙げることができたらすばらしい。日本中で素晴らしい福祉の働きを展開しておられる教会がありますが、こうした働きが〝点〟ではなく〝線〟や〝面〟となれるよう、同様の働きを希望する多くの教会との情報交換と新規事業設立支援ができる教会間ネットワークの強化をはかりたい。そして、教会が行う〝福祉〟が後の地域社会のスタンダードとなり、「福祉の悩み相談は教会に」という社会認識が広がることを目指したいのです。
「地方教会の活性化が地方創生につながる」とも語っています。
主の御心は、神の民が廃墟を立て直し、破れを繕い、市街に人が住めるよう回復することであると信じています(イザヤ58・12参照)。そして、地方教会の活性化を通して、地方創世に貢献できると考えます。教会には隠された宝がたくさんあると思います(マタイ13・44参照)。これは、地域の多くの人々を祝福する主の賜物であると考えています。こうした宝が明らかにされ、世の光として影響力を及ぼしている教会もありますが、それが日本全国に広がるにはまだ至ってはいません。日本の教会のネットワーク、特に教育、福祉、災害時のネットワークが広がることで、教会は日本の社会全体にもっと良い影響を及ぼすことができると信じています。「この街に教会があって良かった」、「福祉や教育で悩みがあれば教会に行こう」と言われるような日本のキリスト教界となるために、私は遣わされる場所で主に仕え、地域教会に仕えたいと考えています。
公式ウェブサイトURL https://www.kanekomichihito.jp/
(クリスチャン新聞web版掲載記事)