学習会「『沖縄復帰50年』を考える」で平良氏 本土並みになるまで政府に建議書の中身を訴え続ける

5月15日に復帰50年を迎えた沖縄。それに先立ち、「『沖縄復帰50年』を考える」学習会(信教の自由委員会主催)が7日、沖縄県南城市の日本基督教団佐敷教会で開催。元琉球政府職員の平良亀之助氏が「~『復帰措置に関する建議書』から復帰50年を見る~」と題して講演した。
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平良氏の講演内容は以下の通り。
「日本復帰の中身に対し、時の琉球政府は日本政府に『復帰措置に関する建議書』という異議申し立てをした。建議書は琉球の歴史上、選挙で選ばれたトップ行政によりまとめられ、民主主義の手続きを経たもの。屋良朝苗行政首席自らしたためた前文には、日米政府が進めている復帰の中身に触れ、『県民の要求が充分に反映されていないうらみがある』と明記してある。だが、日本政府はこの建議書を門前払いし、琉球政府からの意見、要望を無視した形の復帰を強行した」

平良亀之助氏

「この建議書の中身は、半世紀を経た今の沖縄にも十分通用すると言える。沖縄の状況は復帰当時と何ら変わっていないどころか、沖縄における米軍基地は拡大強化され、地元の要求とは相容れない方向に進み、基地負担はさらにのしかかっている。建議書は国会における採決により日本政府に届かなかった形になったが、その中身は沖縄が本土並みの状況にならない限り有効であると言える」
「前文には、県民が復帰を願った心情として、平和憲法の下、基本的人権を願望していたことが記されている。国家権力、基地権力の犠牲となってきた沖縄は、復帰という歴史的転換期に、この状況から脱却しないといけないと、強い決意を込めて明記してある。だが、日本政府の言う『核抜き本土並み』は真っ赤なうそで、基地負担は増大するばかりだ」
「黙っていては、また77年前の地獄が沖縄の島々で起こることは必至。復帰50年から新たな50年に向かい、日米の密約による復帰の実際から抜け出す一頁とすることを念願してやまない。屋良氏以降8人が県知事になったが、建議書の要請を取り下げると言った知事は一人もいない。日本政府の不当を訴え、追求し続けていくことが肝要だ」
最後に、「有識者懇談会で、玉城デニー知事の前で建議書にまつわる話をした。玉城知事にはその精神を受け継いでもらい、今後50年、人間らしい暮らしができる沖縄づくりに貢献してほしい」と、期待した。
その後、質疑応答時間を持った。

(クリスチャン新聞2022年5月29日号掲載記事)