公益財団法人神戸学生青年センター(朴淳用〔パク・スンヨン〕館長、飛田雄一理事長)は今年、創立50周年を迎えた。5月28日には、記念式典・講演会が、兵庫県神戸市灘区八幡町の同所とオンラインで開催。式典では菅根信彦氏(同志社教会牧師、同センター理事)が「一粒の麦~新しい命に生きる~」の題で説教し、講演会では李清一(イ・チョンイル)氏(在日韓国基督教会館〔KCC〕名誉館長)が「ともに歩む共生社会への道」と題して話した。【中田 朗】

最初に菅根氏は、「当センターが発足してから50年間、理事長に河上民雄氏、保田茂氏、飛田氏が歴任し、館長に小池基信氏、辻健氏、飛田氏、朴氏にバトンが受け継がれ、現在に至っている。理事や評議員関係者ら多くの方々の支援で、様々なセミナーの活動など当センターの働きが受け継がれてきた。同時に、出会いや働きの中に神の不思議な御手が働いたことを覚え、感謝したい」と挨拶した。

沖縄本土復帰50年と重ね合わせ、「50年という月日が、確かに時の流れの積み重ねの大切さを教えてくれる。同時に、重大な出来事や時代の声を過去に押しやってしまう誘惑にかられる期間であったのではないか」と指摘。「当センターの前身である六甲キリスト教センターから67年、さらにその前史である米国南長老教会(PCUS)外国伝道局による神戸伝道から123年が過ぎた。今は昨年5月に山田町から八幡町にセンター移転を行い、本館と分館の二つの出会いの場をも持つ新しい働きが始まったばかりだ」

記念講演で李氏

これらのことを踏まえ、①原点回帰、②この原点を刻みつつ、新しい活動の展開を求めていく、の二つを提示。「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(ヨハネ12・24、新共同訳)を引用し、「麦が地に落ちるだけでは実を結ばない。死んで(殻を破って)初めて実を結ぶ。次の100年に向け、自由な出会いの場を確保しつつ、平和、人権、環境、アジアをキーワードに諸活動を力強く展開していってほしい」と期待を込めた。

李氏は、当センター前身の六甲キリスト教学生センターでのマグルーダー宣教師の働き、PCUSから日本基督教団兵庫教区へ移管し、新学生会館建立、小池氏が当センターの基礎を作ったことなどを振り返った。

そして、アジアで開かれたキリスト教フォーラム「People Forum」(EACC-UIM主催、1973年)に触れた。「フォーラムでは日本からは小池氏、塩沢美代子氏(労働問題評論家)、小田実氏(作家)などが参加。フォーラムには、アジアから支援、労働、農村などの活動をしている人たちが集まり、話を聞いた。この時期からアジアに目が向き始めた」

続いて、貸館、宿泊などの「場」の提供、三つの柱である主催セミナー(①食品・公害〔後に食料・環境〕セミナー、②朝鮮史セミナー、③キリスト教セミナー)、95年の阪神淡路大震災後の翌年に設置された留学生・就学生を支援する「六甲奨学基金」、その基金を支える古本市に触れた、、、、、、

クリスチャン新聞2022年6月19日号掲載記事)