カンバーランド長老教会牧師で、香港民主化運動に積極的に関わり、「香港牧師ネットワーク」の発足と「香港2020福音宣言」の起草に中心的に関わった楊建強(ヨウ・ケンキョウ、ウィリアム・イェン)氏が移住先の英国スコットランドでコロナ感染症により亡くなって1年。その「追悼記念会」が9月17日、カンバーランド高座教会で行われた。
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第1部追悼礼拝では、会を主催したカンバーランド日本中会アジア宣教小委員会委員長の白井孝喜氏が「感話」。一連の経緯を説明して、楊氏が運動に主導的に関わったことから、当局から家族や教派にも締め付けが及び、20年の7月に台湾へ移住。永住権が与えられないことがわかり、英国へ。スコットランドのエジンバラに家族も迎え、新しい生活を始めた。宣教の協力者も得て三つの教会を建て、ディアスポラ伝道を進める中で、昨年9月15日に亡くなったことを語った。
氏が提唱した「アジア宣教地」という概念を紹介し、「アジアにある各国は別々の宣教地ではなく、広いアジアという宣教地の中でそれぞれの国が宣教の働きを担い合っていくということを意味している」。
香港での働きを紹介する中で、カンバーランド香港中会シーリン教会の主任牧師として教育に関わる働きのほか、麻薬患者の更生のための職業センターの立ち上げなど、「街に出て行く宣教」を進めたとし、その事績から「私たちは国内だけでなく、アジア宣教地の中で何ができるのかが問われている」と結んだ。
池金苗(チー・ケムミュー)氏も礼拝の中で「思い出」を語った。現在は日本に在住している池氏はシーリン教会会員で、15歳の時に深圳から香港に移住し、楊氏に出会い信仰を持った。「神様が与えてくれた強みは何かを発見しよう、という考え方を教えてくれた」「アメリカ訪問の機会も与えてくれ、そこで日本の人ともつながった」「強い信念を持って社会と関わり続けたリーダー」「教会が内向きになり、低迷する中でも、先生は率先して外に出て行った」とし、「先生は多くの人の人生に影響を与えた。私も愛を持って周囲と関わりたいと思っている」と語った。
第2部の講演会では、金城学院大学の松谷曄介氏が「夜明けを共に待つ共同体─楊建強先生の信仰的遺産に学ぶ」と題して講演、その後、少人数での祈りの時を持った。