横田早紀江さんの長女で、当時中学一年生だっためぐみさんが新潟市の自宅近くで行方不明になってから45年。北朝鮮による拉致が判明してから25年。その救出を求めて祈りを重ねてきた「横田早紀江さんを囲む祈り会」「全国ブルーリボンの祈り会」は11月17日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで第23回「横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会」を開催した。前回第22回を2019年に行って以来、3年ぶりの拡大祈祷会となった。約160人が参加した。当日は、早紀江さんのあいさつと証しとaともに、各地からのビデオメッセージ、会のメンバーを交えての座談会、特別賛美、牧一穂氏(リバーサイドチャーチ岡山牧師)のメッセージがあり、祈祷課題を挙げて祈った。

めぐみさん拉致から45年

最初のあいさつで早紀江さんは、「(北による拉致が判明するまでの)20年は何もわからない、気が狂うような日々だった。あまりにつらくて、いっそ海に溺れてしまった方がよいとさえ思った。二人の小さな男の子をかかえていながら、人間はどうしようもなくなると、そんなことを考えてしまう。友だちが助けてくれ、家族が助けてくれた」。そんな時に、「苦しみの意味がわかるかもしれないから」と友人が置いていってくれた聖書のヨブ記を読んだ。「難しい書だと聞いたが、私には難しいとは思われず、吸い込まれるように読んだ。ヨブに語った3人の友人の言葉も、人間は自分が平穏な時にはこんなことを言って人を傷つける、自分もどれほど罪深い者かと思い、聖書を学ぶようになった」
北朝鮮による拉致については、「これは国家犯罪。国を挙げて対処してほしい。世界中の人と一緒になって戦わなければならない問題。世界中のクリスチャンに祈ってもらって神の御業が表れてきた。もう少しだよと神は言っている気がする」と語った。
座談会では、早紀江さんが通う同盟基督・中野島キリスト教会牧師の國分広士さんの司会で、会のメンバーの斉藤眞紀子さん、牧野三恵さんが、早紀江さんとともに45年を振り返った。
斉藤さんは「聖書を見て、こんな分厚い本読めない、と言っていた早紀江さんが結局は聖書を読み、ヨブ記を読んだのは聖霊の働きだろう。早紀江さんが参加するようになった聖書を読む会では、涙の祈りを続け、早紀江さんを励ましていた」。早紀江さんは「雰囲気が素晴らしい会だった。御言葉を学び、主と共にあるということを知った」。牧野さんは「みなが赦し合っているような交わりで、転勤を繰り返して身につけた私の処世術など必要のないところだった」
拉致問題が明らかになってから、祈祷会が始まった。斉藤さんは「早紀江さんが家族会の働きで全国を奔走していたころ。祈るために、以前の交わりを私の家ですることになった。ほどなくして、いのちのことば社のチャペルを借りられることになったが、こんなに長く続くとは思っていなかった。早紀江さんが参加できない時も祈り会は続けた」
2017年には、早紀江さんの夫の滋さんが洗礼を受けた。斉藤さんは「〝アンチキリスト〟の滋さんが洗礼を受けたのは奇跡。涙で祈れないほどだった」。牧野さんは「ご自宅で、コップに水を入れて持って来ての洗礼式だった」。早紀江さんは「何も強要したことはない。一緒にお墓に入らない? と言うと、そうだね、と言って素直に受け入れてくれた」。洗礼を授けた國分さんは「滋さんの洗礼は、時間はかかったが、神様の御業はちゃんと進んでいたことを教えられる素晴らしい出来事だった。拉致問題解決も、時間はかかるかもしれないが、神様はきっと素晴らしい御業をなさることを信じて祈り続けていきたい」と語った。
メッセージでは、牧氏が「信仰と祈りによって前進せよ!―信仰により得る主の安息―」と題して、ヨシュア記1章から「これはクリスチャンの家族の問題。私たちが先頭に立って祈らなければならない」と語った。

左から牧野さん、早紀江さん、斉藤さん、國分さん