アジア福音同盟女性委員会・子ども委員会主催による「D6ファミリーカンファレンス」が6月9日から開催され、基調講演とともに多くのセッション、ワークショップ(WS)が行われた。その内容を連載で紹介する。第7回は、ジム・バーンズ氏が、子どもを弟子訓練するために、いかに親を励まし、家族と教会に良い結果をもたらすかについて語る。
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私たちは、今までもずっと信仰継承のために祈ってきた。しかし、教会やユースパスターとして間違ったことをしてきたような気がしている。「家庭で信仰の話をする」ことができれば、子どもたちや若い人たちが教会に残っていくことを助けることができる。間違いない。しかし、クリスチャンでない人の家庭、教会に関わりのない家庭が多くある中、教会の役割を見直す必要があると感じている。「家庭に手を伸べることは、世界に手を伸べること」である。教会の使命は親を導くことであり、それによって親が子どもたちを導くことができるよう助けるのである。イエスが語られた革新的な言葉「このような子どもたちの一人を、わたしの名のゆえに受け入れる人は、わたしを受け入れるのです」(マルコ9・37)にあるように、子どもに仕えることは決して小さなことではなく、高尚で大切な召命なのである。機能不全の家庭出身の私と妻がつくる私自身の家庭も、まさに移行期の世代であり、私たち自身が罪を繰り返すのではなく、回復が可能であると信じて奮闘しているのである。
申命記6章の「シェマー(聞け、イスラエルよ)」は、聖書中で最も引用されている言葉である。ユダヤ人は今でも朝夕、この言葉を唱え、成人式、死の床、様々な折に用いられている言葉である。シェマーは、子どもたちに神への忠誠を示し、それをどう伝えるか、一日の中でどのように子どもたちに「印象付けるか」を、はっきりと示している。
私たちD6を行っていく者たちは、三つの発想の転換が求められていると思う。
一つ目は「弟子訓練は家庭から始まる」ということ。教会のなすべきことは、子どもへの信仰継承の担い手は牧師やユースパスターではなく、親こそが担い手であると伝え、親を励ますことである。家庭や、またクリスチャンでない礼拝も、子どもの年齢に応じたやり方で、食べ物や楽しい活動を含め、シンプルに短い時間でやっていくことができる。それをいかに行うかを、教会は家庭に指導していく。また親がクリスチャンでないなら、教会がその子どもたちを直接的に導いていく必要もあるだろう。
二つ目は、親が現在の子どもたちの置かれている状況を知ることである。ポルノサイトの新規利用者の年齢は、十代が最も多い。性について、純潔について、またアルコール、ドラッグ、インターネット利用など、親が子どもたちの状況を学べるよう、教会が助けるのである。
三つ目は、親たち自身が誠実で、信頼できるリーダーとなり、模範を示す、ということである。完璧な人間である必要は全くない。正直で、誠実で、信頼できる人間でありつづけること。自分の仕事を減らす、自分の結婚関係を改善させる、カウンセリングが必要であれば受ける。忙しすぎて疲れていると、私たちは余裕がなくなる。「今の自分が好きか?」「神の働きを頑張りすぎて、神ご自身を見失っていないか?」「家族に嫌な思いをさせていないか?」。私自身常に自分に問いかけている。(つづく)

2022年10月02日号掲載記事)