ウクライナ・ロシア侵攻から一年 苦難の中、伝道と協力の祝福も
ルーマニアの宿泊センター
ロシアによるウクライナ侵攻から1年となる。痛ましい戦争の惨禍の中、福音に出会う人々と、そのために国をこえて協力し合う人々の働きに希望が見出された。「ウクライナ難民を支援する会」による第五回の報告会が1月30日に開催された。同会が後方支援する、ルーマニア・「カイロス」代表のバレンティン・ハリホルチュクさん、ポーランド・「インターナショナル・バイブル・ティーチング・ミニストリー」代表のチェスワフ・バサラさん、モルドバ・「グローバルシグネットグループ」代表のブラガ・ヴラッドさんが、現状と展望を語った。
バレンティンさんは、「ウクライナの人々に伝道する機会を与えられた」と振り返った。ウクライナの避難民のための宿泊センターを開設。英語やルーマニア語を学べるプログラムもある。6か月で500人弱の人々を受け入れた。「『ルーマニアの友』という活動名で、困っている友人に寄り添うように様々な必要に応えている。毎週20人ほどの人が、教会にも集い、今では『私たちの教会』と言ってくれるまでになった」と話す。宿泊センターは3月でいったん閉じるが、近くの新しい場所で、教育、カウンセリング、医療ケア、社会的交流、霊的な支援ができるよう計画している。
バサラさんの住むポーランドには、4千万人の人口に、800万人のウクライナ避難民が訪れた。帰国したり、他国に移った人もいるが200万人以上が残っているという。『なぜ神様は戦争をゆるされるのか』という小冊子25万部をウクライナの人々に配った。「最終的にはヨハネの福音書を通して伝道することが目的」と話す。「『いのちのパン』という名で活動している。ウクライナの人々にはいのちのパンが必要。福音に無関心だった人が今は、『福音を聞きたい』となっている」
「戦争は呪いだと分かっている。その上で戦争の中で結果的に生まれた恵み、奇跡について語っていきたい。皆さんの支援もその奇跡の一部。かつてこのような協力活動があっただろうか。日本やアジアがヨーロッパと協力している。歴史的に複雑な関係にあったポーランド、ルーマニア、モルドバ、ウクライナの教会が、親しい友のようになっている。ウクライナ国内でも西部、東部で分裂があるが、いまは、西側の人が東側の避難民を喜んでかくまっている。そしてかつてないウクライナの人々が福音を聞いている」と感謝した。
ブラガさんは昨年11回ウクライナを訪問した。ドネツクでは5秒に一回爆発音を聞いた。食料や物資が不足する中、残っているのは、病などで移動が困難な人たちだ。病院を訪ね、一人ひとりに手を置いて祈った。「イエス様のために命を落としてもいいという人たちと活動できることが喜びだ。毎月ウクライナに行き、支援活動をする。ウクライナの兵士たちは、証しを熱心に聞いてくれた。福音に飢え渇いている人が多くいる。皆さんとも直に会い、共に伝道できれば感謝です」
支援先情報などは同会のホームページからhttps://www.aid4ukraine2022.com/。同会では6月に、今回報告した3人の家族を日本に招き、大阪、東京で「平和の集い」開催を計画(6月24日~7月4日)している。難民支援とは別枠で集会の費用の献金を募っている。【高橋良知】
(2023年02月26日号 03面掲載記事)