D6ファミリーカンファレンス2023① 「弟子づくりについてもう一度考えよう」
信仰形成には経験が重要
関係構築には時間が必要
5月19、20日に開催された「D6全世代信仰育成ファミリーカンファレンス」(アジア福音同盟・D6ジャパン共催、6月11日号で一部既報)から、各セッションでの講演内容を抄録する。初回は、テリー・ウィリアムズ氏(聖書同盟インターナショナル)が弟子づくりについて語る。(レポート・D6ジャパン事務局)
昨年のカンファレンス
☆D6ファミリーカンファレンス 最終回 ティム・スミス氏「家族のアイデンティティーを構築する」 小さな成功体験を継続し多世代で時間を共有する 2022年10月23日号
「弟子づくり」について、まず確認すべきは、独学では弟子になれず、それはコミュニティーを通して、また日常生活の中で「弟子」とされていく、ということである。そして、「大宣教命令」(マタイ28・19)における中心の動詞は「弟子とする」である。現在、教会から多くの青年たちが離れている状況の中で考えるべきことは、なぜ弟子づくりをするのか、どのように弟子づくりをするのか、そのために何をするのか、ということである。
「弟子づくり」の働きは、教会の日曜日1時間のプログラムでできるものではない。弟子となるとは、「キリストの本質を担う者になる」ことであり、それは「家族」という文脈で起こる。そして「家族」とは、聖書的には、コミュニティーをも含んだ概念であり、家族とコミュニティーが共に働く中で、子どもたちの霊性は形成されてきたが、それが産業革命以降、損なわれた。人々は家を出て、子どもたちさえ工場で働き始め、家族の分断が始まった。私たちはもう一度、「家族」「コミュニティー」という原点に戻る必要がある。
私の調査、研究から言えることは、信仰を形成するためには経験が重要であり、その時「基盤となる原則」は二つある。一つは「家族」。神は家族を通して働かれる。教会はあくまでも、家族を支える補完的役割である。二つめは「世代間の(世代を超えた)つながり」。個人主義が中心となれば、他世代はおろか、同世代のつながりも希薄になる。しかし教会は実に、すべての年代が集う、この世界でも希少な存在である。この二つの原則(土台)の上に、弟子づくりに必要な「経験」という柱を立てるのである。
第一の柱は「主に仕える」。子どもや若者に神さまに仕える機会を提供する。奉仕を通して、信仰が深められていく。第二の柱は子どもたちが「思いやりをもって応答する」こと。この世界の痛みや問題に対して、大人目線で解決策を子どもに提示するのでなく、自分たちで御心に沿って応答するよう考えさせる。第三は「神の大きなストーリー」。若者が聖書全体をつらぬく神のストーリーの中に自らを位置づけ、それを人に伝える経験をする。第四は「イエスと出会う」。これは人生の特別な経験として、信仰形成に不可欠だ。第五は「至高経験」。キャンプなどを通して霊的に高い経験をすること。第六は「通過儀礼」。入学式、卒業式など人生の節目を信仰と結びつけることで、信仰生活の錨(いかり)となる。第七は「良い仲間のグループ」。年齢が上がれば、親よりも友だちの影響力が大きくなる。第八は「メンターとコーチ」。教会には、彼らと共に歩むのにふさわしい人たちがいる。
二つの土台と八つの柱の上につける屋根は、聖霊なる神さまである。そこでの経験を通して、子どもたちは新しい世界観を構築していく。 ここに挙げた土台と柱は、すべて「関係性」に基づいている。関係は「時間」を要する。忙しい私たちは何に時間を割くべきか。子どもたちの未来のために、この「弟子づくり」に共に力を尽くしたい。(つづく)
(2023年07月16日号 07面掲載記事)