性的搾取から子どもたちを守るには 「第30回 NFSJカフェ」
「子どもたちの声なき声に 」 ゾエ・ジャパン秦地さん講演
人身取引、現代の奴隷制問題に取り組むノット・フォー・セール・ジャパン(NFSJ)主催の「第30回NFSJカフェ」が6月27日、オンラインで開かれた。スピーカーは一般社団法人ゾエ・ジャパン・リージョナルディレクターの秦地浩未(はたじ・ひろみ)さん。秦地さんは「性的搾取から子どもたちを守る方法」と題して語った。
ゾエ・ジャパンは、NFSJと同様、人身取引問題に取り組む団体で、特に人身取引の被害から子どもたちを守る活動にフォーカスする。モットーは「すべての人に手をさしのべ、すべての子どもを救うため」で、活動の3本柱は防止、救出、回復だ。
秦地さんは、一般的な性的搾取の形態として、①JKビジネス・コンセプトカフェ、②援助交際・パパ活、③児童性虐待記録物、の3つを挙げる。
①は、JK(女子高生)を売り物にするビジネス、②のパパ活は、一緒にお食事するだけというイメージがあるが、援助交際と同様売春につながるという。③の児童性虐待記録物とは、児童のヌードまたはセミヌードの写真、ビデオ、録音した物をいい、児童自ら作成したコンテンツも含まれる。
グルーミング(性的接触、性的虐待、人身取引を含む搾取行為を行うために、成人が未成年者と感情的な関係を築き、信頼を得る行為)、セクストーション(児童に性的な画像をネット上で送信するよう強要し、さらに画像や金銭を強要する行為)についても触れ、▽より幼い子ども(赤ちゃん含む)がターゲットになっている、▽児童のヌードまたはセミヌードなどの写真は30~50倍の値段が付く、▽セクシーなマンガが氾濫する、など日本には性的搾取に対して無知・文化的寛容がある、などを指摘した。
秦地さんは、「セクストーションを含むネット被害の報告が2019年から20年にかけて98%増加した米国の例等をあげながら、日本を含む世界中で被害が急増している」と指摘し、日本では、その要因として▽ネットやSNSの使用について、半数以上が家庭内でルールがない、▽60%以上が小中学生の時に初めてアダルトビデオを見ている、▽父親との関係性が良い子が50%を切っている、などを挙げた。危険性の高いアプリはツイッター、インスタグラム、ラインなど。オンライングルーミングのサイン(兆候)としては、▽仲間はずれ・孤独、▽友達が変わる、▽落ちこぼれる、▽特定のウェブサイトやゲームに過度に熱中する、▽ネットで何をしているか隠す、▽ネットや電話でのやり取りの後、落ち込んでいる、などを挙げ、サインを見逃さないようにと勧めた。
子どもをネット犯罪から守るための、アプリも紹介。「 コドマモ といって、藤田医科大学とIT企業の『スマートブックス』が愛知県警と連携して開発したもの。このアプリを入れると、わいせつな画像を撮った場合、AIが検知し、親に連絡がいく。卑猥(ひわい)な言葉のやり取りや危険なチャットも検知する。子どもにスマホを持たせる時に、親との約束事としてこのアプリを入れてもらう。このように、安全なネットの使い方を、子どもと一緒に作り上げてほしい」
私たちにできることとしては、▽自分で声が上げられない子どもたちの、声なき声となり、被害者を責めない、▽セミナー・イベントを実施。特に学校で行う、▽SNSで情報共有する、▽見たら通報する、▽支援する、などを挙げ、親は子どもに寄り添うことが重要であることを強調。「子どもは家族にも言えず独りで抱え込んでいる場合がある。言ってくれるだけでも勇気がいることだ。だから、絶対に責めないでほしい。問題を乗り越えるためには普段の子どもとの関係づくりが重要だ。通報は子どもと一緒にし、警察や弁護士事務所には、親が一緒に行かないと未成年者は取り扱ってくれないので、一緒に行ってあげる。何より、一緒に考え、寄り添ってほしい」と結んだ。
ゾエ・ジャパンのウェブサイトは URL: https://www.gozoe.jp/
(2023年07月16日号 03面掲載記事)
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