第七回日本伝道会議(JCE7)は継続的な取り組みをするプロジェクトを進めている。今回はそのうち二つを担当する福井誠氏に聞いた。【高橋良知】

 

枠こえた協力を吟味  宣教協力を考える会

プロジェクト名は「福音派の新しい宣教協力の枠組みへの提案」。福井氏は「従来から提案されていた福音派の枠組みをこえた宣教協力の新しい枠組みの在り方をJCE7を機会に調査し、福音派諸教会へ現実的な戦略提言を試みる」と狙いを語る。

背景には、福音派各教会の教勢低下や、地方において、福音派の枠組みをこえた宣教的交わりがされているという現状がある。社会的、福祉的、政治的な問題での協力とともに、神学的協調性が求められる状況がある。「宣教協力の推進が求められる一方、プラス面、マイナス面を含め、どのような具体的な諸課題に直面するかを整理したい」と話す。

日本福音同盟(JEA)、日本キリスト教協議会、聖公会、カトリックの研究部門、理事経験者にインタビューし、課題や可能性を整理する。次にJEA理事らと宣教協力の枠組みを明確にしていく予定だ。

同プロジェクトについてこう勧める。「JEAの役割には、宣教協力、そして情報共有、交わりがある。しかしそれは、どうしても首都圏、大都市圏の教会にとって役立つ、という傾向があった。コロナ禍によってデジタル化が一挙に進むことで、そうした恩恵は地方にも及びうる可能性が出てきた。皆さんの積極的なご意見、関わりを期待している。JEAも、設立当初とは比べものにならないほど拡大し、複雑化、専門化するようになった。これからの日本の宣教協力を推し進めるにふさわしい、新しいインフラのあり方はどうなのかを、JCE7から始まるこのプロジェクトを通して共に考え、また実現できればと願います」

 

効果的な訓練・援助体制を 教団教派の新パートナー、開拓者アセスメント&開拓支援センター

プロジェクト名は「教団教派の新パートナー、開拓者アセスメント&開拓支援センター」。教会開拓および形成をより効率的に進めるための宣教協力の在り方を考えるのが目的だ。

国内開拓伝道会(KDK)が、戦後支援してきた、約250教会の教会を追跡調査した結果、全体の約五分の一の教会が閉鎖に追い込まれていること、さらに、いまだに経済的に自立できず苦闘している教会も多いことが明らかになった。

課題として浮かび上がったのは、教団教派が推薦した開拓伝道者の適性や訓練が不十分であったことや、開拓開始後の資金的援助および、教育・フォローアップの体制などだった。福井氏は「今日、献身者不足が言われ、新しい教会開拓がこの数十年皆無という教団教派も散見される中、開拓伝道を志す方々の中からその適性を見極め、その開拓伝道を効果的に進めたい」と言う。開拓者の評価、技能訓練、開拓フォローアップを行う第三者機関および、新しい宣教協力体制の在り方について提言し、実際に運用をする計画だ。「教会開拓、形成について、各教団教派、また宣教団体が、どのように協力体制を組むことができるかを考え、その体制を構築するものです。それによって、教会開拓、形成に取り組む牧師、信徒が、喜んで主に仕える手段を提供したい」と言う。

JCE7については、「一般社会で、グレートリセットと呼ばれるほどの影響を与えたコロナ禍の後に開かれる伝道会議だ。これまでとは全く違った歩みの出発点として期待する。そのような意味で、本プロジェクトが、これまで踏み込んだことのなかった宣教協力の分野を開拓するものとなれば」と語った。(つづく)

2023年08月13日号 07面掲載記事)

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③ 福井誠 プログラム局員 皆の意見を反映した内容に 2023年06月18日号

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