日本で2番目にブラジル人が多い都市、豊橋。ここにブラジル福音ホーリネス教団・豊橋教会はある。「外国人」として在日するブラジル人が多く集う。ここには「外国人」の居場所があるばかりではなく、地域に貢献する教会として歩む姿があった。

牧師の黒木アドリアーノさんと妻の真由美さん

100年以上前、多くの日本人が移民としてブラジルに渡った。同時期、彼らに福音を伝えるために宣教師も渡伯している。そこから生み出されたブラジル福音ホーリネス教団には、ブラジル全土に45、ペルー、マカオに各1、日本に4の教会があり、日系人を中心に礼拝が捧げられている。

 

再び日本へ

40年ほど前から、移民の子孫が出稼ぎのため来日し、日本で教会を形成している。そして現在、ブラジルの当教団から4人が派遣され、宣教師としてまた牧師として、彼らの信仰を支えている。
その一つが、黒木アドリアーノさんが派遣されている豊橋教会。黒木さんは、献身の思いがあったが、悪化した家庭環境から逃げるように17歳で来日し青森へ。教会生活も「日本語力ゼロ」で続けられず、神からも離れた。しかし帰国後、宣教団体で2年の訓練を受け、日本伝道への思いを持って、25歳で再来日した。

その際、「日本では日本語での学びが必須」という教団の助言で、つながりの深い日本ホーリネス教団の東京聖書学院に入学。日本語に苦労しつつ3年学び、17年前から豊橋で牧会する。

 

子どもへの支援

出稼ぎ世代は子どもが多く、教会もにぎやかだ

教会はビルの一室にあり、ポルトガル語と日本語で礼拝が捧げられている。60人ほどが集い、うち子どもが25人と多い。「教会のメンバーは出稼ぎの年齢だから、子育てをしている30代が多」く、子どもたちも「部活よりも教会を大事にする」し、「外国に存在しているので、(子どもにとっても)居場所として落ち着く」と黒木さんは言う。

豊橋にはブラジル人だけでなく、外国人児童が多い。多い学校では600人中100人、さらには35人クラスで10人が外国人ということもあるという。教師がどれほど努力しても、多国籍の児童たちへのフォローは十分にはしきれないだろう。

黒木さんは、10年ほど前に、教会に通う中学生が「学校で何もわからない」と悩んでいたのを聞き、教育現場に足を踏み入れた。初めはボランティアとして、後に市の教育委員会に雇われ、通訳などを通し子どもを支援してきた。

「子どもと先生の苦労を見て、学校は自分にとって宣教地だと思うようになった。孤独な子どもがたくさんいます」

今は「もっと子どもの近くに行くことが自分の仕事」と、場所を借り、定時制の高校生に平日週2回、土曜日には中学生と勉強などをして共に時間を過ごしている。ブラジル人だけではなく、フィリピン人やベトナム人、そして日本人も集まってくる。

定時制に通う高校生たちと平日週2回ともに勉強する。「数学は教えられます」と黒木さん

 

「外国人」を体験したからこそ

日本人の救い

ホームレス支援を教会でサポート。日本語ができない人にもできる大切な奉仕の機会になっている

豊橋教会では学習支援にとどまらず、ホームレス支援、ゴスペル、宣教団体チームの受け入れなど幅広く活動している。コロナ前は養護施設でのボランティアもしていた、、、、、、、、

2023年08月13日号   08面掲載記事)