照内 幸代 日本ホーリネス教団秦野キリスト教会牧師

 

その後、私は見た。すると見よ。すべての国民、部族、民族、言語から、だれも数えきれないほどの大勢の群衆が御座の前と子羊の前に立ち、白い衣を身にまとい、手になつめ椰子の枝を持っていた。
彼らは大声で叫んだ。「救いは、御座に着いておられる私たちの神と、子羊にある。」(ヨハネの黙示録7章9、10節)

 

クリスマスおめでとうございます。今年も一年間の歩みがここまで守られ、御子の生誕をお祝いする季節を迎えたことを、主に心から感謝いたします。

今年は9月に第7回日本伝道会議が開催されましたが、そのテーマ聖句の一つがヨハネの黙示録7章9、10節でした。国際化する社会において、日本でも多国籍の礼拝がささげられ、海外においても日本語教会で日本人伝道がなされることの重要性が、日本伝道会議で取り上げられました。実はこの聖句は、私にとってとてもなじみ深い御言葉の一つです。なぜなら毎年のクリスマス、この御言葉の書いているような礼拝が私たちの教会でささげられているからです。

私が現在任命されている日本ホーリネス教団秦野キリスト教会は、三階建てのビルになっています。日曜日ごとに、この建物からは様々な言語が聞こえてきます。スペイン語、ポルトガル語、日本語、そして時々英語やその他の言語です。建物自体は日本ホーリネス教団の名義ですが、一階を日本語教会が、二階をブラジル教会が、三階をボリビア教会が使用しています。ブラジル教会とボリビア教会は午前に礼拝をささげ、日本教会が午後に礼拝をささげることで、小さな駐車場も上手く使い分けています。

毎年クリスマスになると、私たちは教会の外に会場を借りて、合同クリスマス礼拝をささげます。讃美歌の一番は日本語で、二番をポルトガル語で、折り返しはそれぞれが好きな言語で賛美します。メッセージはまず日本語で語られ、それがポルトガル語に通訳されます。

礼拝のあとはオープンステージです。ブラジル教会の子どもたちが日本のワーシップソングを歌ったり、日本教会のメンバーがハンドベルの演奏をしたり、ブラジル教会のバンドチームがポルトガル語のワーシップを披露してくれます。盛り上げ上手な南米人が、ステージに拍手喝采を送ってくれるので、日本教会の高齢の信徒さんたちもにこにことうれしそうです。

その後は一品持ち寄りの愛餐会が開かれ、日本食もブラジル料理もランダムに机に並びます。不思議なことに、日本のお米はブラジル料理にも結構合います。ある日本教会の婦人は、相手に言葉が通じていても通じていなくても、お構いなしに日本語で話し掛け続けます。ブラジル教会の方々は、どんな話でも楽しそうに聞いて、すてきなリアクションを返してくださいます。

こうしてクリスマス礼拝をささげるとき、私たちは天国の礼拝を先取りしているような気持ちになります。ポルトガル語の歌詞の意味は分かりませんが、今この賛美を通して、私たちは同じ天の父を礼拝しているのだという喜びが心にあふれます。

私たちの内に、神様以外の共通点はほとんどありません。生まれた国も、育った環境も、話す言葉も、文化や習慣も何もかも違います。しかし、私たちは国籍を天に持つ、神の愛する子でありキリストの弟子であるという、何よりも大きな共通点で結ばれているのです。

時々お互いの文化が異なるために小さな問題が起こったりしますが、工夫して一つ一つの課題を歩み寄って乗り越える度に、「ああ、この人は確かに、キリストにあって私の兄弟だ。私たちを愛してくださっているのだ」と実感するのです。

今年のクリスマスも、私たちの最も大きな共通点である主イエス様のお誕生を、多文化入り混じる礼拝においてみんなでお捧げいたします。

(2023年12月24・31日号   01面掲載記事)