武田考平 米国・フェイス・バイブル教会牧師

武田考平 米国・フェイス・バイブル教会牧師

新年明けましておめでとうございます。一年の計は元旦にあり。新年を迎えて、期待に胸をふくらませながら、色々な計画を立てたくなる季節です。これから何か新しいことにチャレンジされる方は少なくないでしょう。毎年、人気のある新年の抱負は「健康管理」や「ダイエット」だそうです。これは日本だけでなく、筆者がお仕えするアメリカでも同様。スポーツジムの新規加入は毎年一月にピークを迎えます。

世界大の宣教の潮流の中で

日本と世界の宣教に関して、今年は特にワクワクする年です。ビリー・グラハム氏の呼びかけによって始まった世界的な宣教運動であるローザンヌ運動は今年で50周年を迎え、9月には第4回世界宣教会議が韓国ソウルで開催されます。世界各国より5千人の宣教リーダーが集い、2050年を見据えて、様々な宣教課題を議論しながら、ネットワークを広げていきます。宣教の重心が欧米からアジアにシフトしたり、生成AIが生まれたりと、20世紀とは一転した新時代を迎えた今、これからの福音宣教の在り方について主の御心を共に見極める歩みを世界大のキリストのからだとして始めます。

昨夏はアライズ・エイジアという青年宣教大会がタイで開催され、アジア各国から千800人以上の若者が国外宣教のチャレンジを受けました。その後、若者のリバイバルは世界中に波及し、2024年は千500人規模のアライズ・ラテンアメリカ大会も予定されています。昨秋、WEA(世界福音同盟)とAEA(アジア福音同盟)では新進リーダーサミット(ELS)とAEA40周年記念大会(ACML)がインドネシアで催され、未知なる新時代における教会形成、宣教、弟子訓練などの在り方について神のビジョンを求めました。今年からそれらが具体的に稼働していきます。

日本では今春3月上旬、ローザンヌ史上初めて日本YLG大会(Younger Leaders Gathering、若手リーダー集会)が埼玉で行われます。中心的な20~40代の若手世代に加えて、Z世代やα世代(若手世代の子どもたち)、そしてシニア世代がメンターとして集い、日本宣教に仕える多世代リーダーが一堂に会して、キリストにあるリーダーシップとは真の謙遜さであるというチャレンジを受けます。

サバイバル(生き残り)でなくリバイバル(霊的刷新)を

このように今年は宣教の活性化が期待される集会が多く予定されています。筆者自身、地域教会を牧会しながら、これらの宣教活動に関わらせていただいていますが、教会や宣教にとって有益な機会となり、何より神の栄光が現わされることを切に祈り求めています。

しかし、逆説的にも、新年にあえてお分かちしたいことは、宣教が拡大するのは、集会そのものではなく、神様との個人的な関係の中で、あくまで「私」がキリストの似姿に造り変えられるときだということです。

自分のプライドや自己中心を十字架につけて自我に死ぬとき(ルカ9・23)。そして、キリストを信頼しきるとき。そのとき、はじめて私たちの宣教の働きは力を帯びるようになります。神の目的にかなうようになります。困難な状況に関係なく、喜びと感謝に満たされ、宣教が楽しくて仕方がなくなります。危害や迫害を加える者を心から赦し、彼らの祝福さえ祈れるようになります。考え方を異にするキリスト者にも耳を傾け、協力して仕え合える謙遜さが与えられます(ピリピ2・3~5)。これらがイエス・キリストの福音の力です。

福音宣教に仕える私たちが祈り求めるべきは、教会のサバイバルではなく、教会のリバイバルです。それは、他の誰でもなく「私」の生き方が変えられることです。そのためには、神の力が必要です。宣教には新たな理論や実践も有益ですが、神の力を欠かすことができません。その力を経験するために、まずは「私」が自分に死に、キリストに生きることで、新たに造り変えられるほかありません。

私たちがキリストとともに死んだのなら、キリストとともに生きることにもなる、と私たちは信じています。(ローマ6・8)

問題は、何度も耳にしたこの真理を、信仰によって「真に」経験できるかどうかです。今年は様々な素晴らしい宣教活動が計画されています。しかし、宣教大会や宣教論以上に、神ご自身との個人的な交わりを求め、その中で神への全き服従と献身を表したいと願います。今年も日本と世界で主の御名が高くほめたたえられますように。

皆様の上に神様の豊かな祝福がありますように、心よりお祈り申し上げます。

2024年01月07・14日号   01面掲載記事)