倉沢正則(日本ローザンヌ委員会委員長)

本紙1974年8月12日号

ローザンヌ運動50周年

スイス・ローザンヌで開催された「第一回ローザンヌ世界宣教会議」(1974年)に端を発するローザンヌ運動は、2024年で50周年を迎えます。世界のプロテスタント福音派の一致と世界宣教協力を目当てに今日に至っています。

そして、日本の福音的な諸教会の結集と宣教協力もこのローザンヌ運動と共に歩んで来ました。その50年目に「第四回ローザンヌ世界宣教会議」が韓国ソウルで開催される運びとなりました。

ローザンヌ運動の起こり

ローザンヌ世界宣教会議には、世界教会協議会(WCC)世界宣教・伝道委員会(CWME)の宣教理解や方策に対する危機感と、聖書の権威を重んじる福音的な立場を表明する福音派の宣教への結集が込められていました。エジンバラ世界宣教会議(1910年)は現代エキュメニカル宣教の開始となり、48年にWCCが創設され、61年にこれまで世界宣教を担って来た国際宣教協議会(IMC)がWCCへと統合される中で、教会中心の宣教から「神の宣教(ミッシオ・デイ)」へと移行して、テキストである聖書よりもコンテクストである世界の現状に重心を移す理解となりました。

その結果、「神の宣教」が「社会や国を改良する神の活動」と考えられるようになり、ウプサラ会議(68年)やバンコック会議(73年)の「宣教の社会・政治化、人間主義化」理解に対して、ローザンヌ世界宣教会議は福音派の宣教の聖書的・神学的理解を再度断言する国際会議とされたのです。

ローザンヌ運動の宣教理解

しかし、60年代は社会全体が大きく揺れた時期で、既成社会通念からの解放やテロリズム、公害、核の脅威、人口増加と食料危機、中東問題が人々を苦しめ、キリスト教界の取り組みが問われました。その中で福音派はもう一度聖書の使信を再確認して、教会を「しもべ」であり「証人」である「神の民」とし、宣教を主イエスの働きを担う「伝道」と「社会的責任」として、これまで伝道一辺倒であった福音派の宣教理解に社会的な側面を位置づけたのです(「ローザンヌ誓約」)。

その後ローザンヌ運動は、「伝道と社会的責任」という宣教理解から福音を「言葉とわざ」で伝え示すという理解に至り、さらに人間理解も単に「魂」のみでなく、全人(身体的、精神的、社会的、霊的)として理解して、教会の使信のより包括的な理解を深めつつ、「全教会が全福音を全世界に」(第二回ローザンヌ世界宣教会議マニラ大会、89年)というスローガンを明示するに至りました。

この間、「福音の文脈化」や「未伝(アンリーチ)の人々」の特定、教職のみでなく信徒や女性の宣教協力、さらに都市宣教方策などが展開され、宣教学的な考察が福音派の中で活発となりました(「マニラ宣言」)。

そして21世紀、加速度的に変化する世界にあって、キリストの愛への応答愛としての宣教を掲げた「第三回ローザンヌ世界宣教会議ケープタウン大会」(2010年)が開催されました。エジンバラ会議から100年を期に、上記のスローガンのそれぞれに対する愛とそれゆえの行動への呼びかけを具体的なかたちで表したのです(「ケープタウン決意表明」)。

第4回ローザンヌ世界宣教会議に向けて

その後の世界は、大変な激動期を経ています。気候変動に伴う各種の災害、地震や津波による甚大な被害と原発事故、新型コロナウイルスなどによるパンデミック、と私たちの住む地球環境は悲鳴をあげています。加えて情報通信技術をはじめ先端技術の急速な発展や宇宙開発に伴う生活様式の変化と価値観の多様化は全世界共通の課題でもあります、、、、、、、

2024年01月07・14日号   10面掲載記事)