全キ災「能登半島地震情報共有会議」開催 「秩序・継続・愛・協力」掲げ支援会立ち上げ
能登半島地震を受け、大規模災害に備え協力するための全国ネットワーク「キリスト全国災害ネット(全キ災)」(北野献慈世話人代表)は5日、情報共有会議をオンラインで開催。全キ災加盟団体、現地の教会及びネットワーク、キリスト教災害支援団体の関係者ら98人が参加し、情報交換した。
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最初に全キ災広報の石橋憲氏が報告。「発災直後から被災地の教会の牧師、信徒、加盟団体とのやり取りの中で、様々な情報を収集。被災者でもある現地教会の牧師に連絡が集中しないようにとの配慮から情報を集約し、一般公開用としてウェブサイト(URL https://zenkisai.net/)にアップした」と語った。
現地ネットワークから、石川県放送伝道協力会の岡田仰氏(金沢独立キリスト教会牧師)が報告。「協力会の約30人の先生と、今後について話し合い、5日に災害支援事務局『能登半島地震キリスト災害支援会(能登ヘルプ)』(代表・岡田仰)を発足した(URL facebook.com/notohelp参照)。義援金窓口も開設する。活動方針として①秩序=ルールを作り、その下で諸教会のコンセンサスを取りつつ決めていく、②継続性=中・長期も視野に入れ支援する、③愛=伝道でなく地の塩として被災者に寄り添う、④協力=今後の教会協力につながっていけるように、の四つを確認した」
現地教会から、聖書教会連盟・内灘聖書教会牧師の酒井信也氏、林孝幸氏が報告。酒井氏は「震災の夕方から断水、家が傾いたなどの理由で教会員が避難してきた。金沢市に住む教会員の自宅ががけ崩れに遭い、家を失った。幸い外出中で助かった」、「聖書教会連盟には石川県下に11教会あり、教会の建物はみな無事だった。2日に安否が分からなかった門前聖書教会(ブルース・トラス宣教師)へ。道があちこち寸断され進むのに苦労した。トラス宣教師夫妻は近隣の中学校に避難中だ。能都聖書教会(ドン・ニッカーソン宣教師)は、被害の大きかった輪島市、珠洲市に近く、支援拠点の可能性をさぐっている」、林氏は「NPО法人FUKUSHIMAいのちの水から、10トントラックで約800ケースの水が届いた。1日おきに800ケース届けてくれる。内灘の役場や七尾の市役所などを通じ、避難所に水を届ける計画を立てている」と話した。
災害支援団体からは、ハンガーゼロ総主事の近藤高史氏が報告。「4日から現地入りした。現時点ではニーズ調査と届いた物資を配布すること。被災家屋を回り、片付けや泥出し作業は少し先になる。断水が非常に多く、水が必要と思っていたので、大量の水が届いて安心した。オペレーション・ブレッシング・ジャパンが毛布やおかゆ、衛生用品など、ハンガーゼロからはパン・アキモトが提供してくれたパンの缶詰などがある。今後は、互いの協力が大切になってくる」
続いて、九州キリスト災害支援センター(九キ災)本部長の市來雅伸氏が報告。「九キ災は3日に出発し、4日午前5時の物資支援の便に合流し、配布のお手伝いをさせてもらっている。九州では各県の各教会で防災倉庫のプロジェクトをしており、そこから物資を集めて、被災地に届けることができたのは大きな意味があった」
近隣ネットワークからは、ОM日本三重チームリーダーの近藤健二氏が報告。「石川県にОM宣教師が多いので、安否確認をし、その後被災状況を集めた。4年間、輪島聖書教会で仕えていたミッシェル宣教師が案内役として一緒に輪島市を訪れたが、まるで戦地にいるような異様な雰囲気にショックを覚えていた」
日本基督教団中部教区の田口博之氏(名古屋教会牧師)は、日本基督教団の対応を報告。「石川県に教団の教会が13ある。まず被災教会再建と人道支援のため募金を開始。超教派的にボランティアを送る方向でなく、中部教区の被災地の教会と足並みをそろえ地道な息の長い活動を目指す。特に被害の大きかった輪島教会は、会堂が2007年の地震の時に補強した部分は残り、あとは全壊。牧師館に隣の家が倒れ壁に穴が空いたが、何とか集まれるので日曜日はそこで礼拝している。新藤豪牧師と信徒の多くは今、避難所にいる」
質疑応答では、輪島聖書教会の荒川康司牧師一家の消息についての質問に対し、「無事で、一家は教会堂に住んでいる。電気は戻ったが、断水は続いている。支援物資を受け付けている場所が近く、そこで食料の供給を受けていると聞いている」と、ОMの近藤氏が答えた。
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5日時点で未確認だった、珠洲市にある珠洲クリスチャンセンターの安否もその後確認され、信徒らは今も礼拝を守り続けている。