日本福音主義神学会東部部会秋期公開研究会から

日本福音主義神学会東部部会は、2023年年間テーマ「キリストにある平和と和解」のもと、春期に「キリストにある平和」(2023年7月16、30日、8月6日号参照)、秋期に「キリストにある和解」(11月27日開催)のテーマで公開研究会を開いた。秋期は藤原淳賀氏 (青山学院大学地球社会共生学部教授、宗教主任)、長下部穣氏(特非ワールド・ビジョン・ジャパン信仰と開発担当、東京基督教大学・立教大学非常勤講師)が講演した。【高橋良知】

藤原淳賀氏 (青山学院大学地球社会共生学部教授、宗教主任)

 御国の完成へのストーリーの中に和解がある

 

藤原氏は「和解:キリストを通し天と地をつなぐ生き方」と題して語った。「キリスト者は神の国の物語に生き、天の性質を求めて、天と地をつなぐ生き方をする。その大きな流れの中で和解が起きる」と言う。

青山学院大学の「聖書的和解研究プロジェクト」で、「聖書的な和解は、神のシャロームの物語の中での愛と赦しに支えられた歩み寄り」として進めた自身の取り組みを紹介。「神を愛し、隣人を愛すること」を土台にした「終末的シャローム」のイメージを語った。「壊れた関係があるが、神は最終的に世界を完成される。そのストーリーの中で、赦し、和解、正義が起こる」と述べた。

「和解は相手がいる。自分が赦したい、と思っても、相手が拒否すれば、和解できない」と話し、「赦し」にも注目した。マタイ6章15節を引用し、「人を赦さなければ、神に赦されないということだろうか」と問うた。これについて、マタイ18章の借金のたとえから、「人を赦さないということは、自分がどれだけ赦されているのかを理解していないということではないか」と述べた。

倫理学や物語神学にも触れた。結果主義(帰結主義)的倫理学、義務論的倫理学に対し、よりキリスト教的なものとして、動機論的倫理学、人格論的倫理学を強調した。

「どういう物語で生きるかで行動が決まる。物語神学者も徳の形成を重視している、、、、、、、

2024年01月07・14日号   05面掲載記事)

参考

【神学 聖書の平和論】殉教死、忠実な証しによる教会の戦い 山﨑ランサム和彦氏 2023年07月30日号

【神学 聖書の平和論】殉教死、忠実な証しによる教会の戦い 山﨑ランサム和彦氏

南野浩則氏「旧約聖書の平和論」研究発表 日本福音主義神学会東部部会 春期研究会発表より② 2023年08月06日号