《チャチャチャーチ》居心地の悪い場所を目指す 青森福音キリスト教会
「本当に来るのですか?」と何度も聞かれたという、青森福音キリスト教会(日本福音キリスト教会連合)の牧師・服部滋樹さん。豪雪地帯で冬は雪に閉じ込められる。雪を経験したことのない人が本当にここに来るのか、という意味だ。
服部さんは名古屋出身でもちろん豪雪は未経験。2021年10月に赴任し、37年ぶりの豪雪を体験した。こんなにも積もるのかと驚いた。
教会の始まりは宣教団体「TEAM」による。戦後の1953年、青森の焼野原で宣教師二人によって開始された。その後、4人の牧師が就任し、服部さんは5人目である。民間企業に勤務後、キリスト者学生会の東海地区主事として働く。その間、イギリスに留学し、帰国後は主事に復職した後、三重県津市で11年、ロンドン日本語教会で3年間牧師を務めた。
青森市自体の人口は減少しており、教会も同様である。若い人も子どもも少ない。青森には恐山、イタコなどの信仰習俗をはじめ「キリストの墓」伝説があり、村のホームページに情報が公開されている。霊的な戦いも否めない土地柄だが、教会は着実に存続してきた。なぜか。
「宣教師が開拓するとき、英会話教室などで人をつなげることが多いと思います。でも宣教師が帰国するとその人たちも来なくなってしまうことも。この教会では早い段階で宣教師から日本人牧師にスムーズにバトンタッチできた影響が大きいかと。またここの初代牧師は地元の津軽弁で説教したのです。それも大きい」
津軽弁は難解な言葉で有名だ。しかしその特徴ある地元の言葉・津軽弁で福音を聞いた人たちがしっかりと教会に根差したのでは、と服部さんは言う。
70年の歴史を持つ教会。顔見知りが多く、信徒にとっては居心地が良い。服部さんは赴任して、そこに疑問を抱いた。内側で居心地が良いと、外に出ていかなくなる。よその人に入ってきて欲しくない教会に宣教のスピリットはあるのか?
「まず教会のホームページを作りました。ここに教会があることを知ってもらおうと。また第2、5週は未信者や求道者向けの礼拝をすることにしました。説教もホームページで視聴できるようにしました」
戸惑う信徒も出る。「それは当然でしょう。今まで居心地が良かったのですから。しかし、わたしは聖書が言ってないことはしないと。家庭的な教会を目指せとはどこにも書いていません。宣教の協力から生まれる交わりや家庭的な雰囲気は良いと思います。でも外の人が入りにくい『家庭的な教会』はおかしい」
赴任しての2年は信徒の意識改革に費やした。説教の中で忍耐強く語ってきた。そして心で理解してくれる人が増えていった。今では役員をはじめ協力的に取り組んでくれている。
ひさしぶりに4人の中高生の洗礼式があった。「若い人にとって居心地が良い場所は、高齢の人にとっては居心地が悪いものです。それが苦手という人もいたし、もっとやってよいという人もいて反応は様々。意識を変えることは大変でしたが、みことばが人々の心を変えてくださったと感じています」
家庭集会の再開も果たした。今後別の地域でも家庭集会を増やしていきたい。またコロナで中断していた愛さん会も復活した。イエスも食事を共にした。一緒に食べることの大事さを考えている。さらに昨年から会堂建築のための委員会が発足した。会堂の老朽化に伴っての決断だ。
「地方が置き去りにされている もっと地方へ出てきてほしい」
服部さんが問題視していることに「説教の衰退」がある。「一般的に説教の時間が短くなっているのではと感じます。いま自分は平均50分説教しています。初めはクレームが出ました、、、、、、
(2024年01月28日号08面掲載記事)
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