新垣さん(右)と金城さん

沖縄出身のお笑い芸人「アイアム」。ツッコミ担当の新垣勝利(あらかき・しょうり)さんと、ボケ担当の金城真偉(きんじょう・まさい)さんの、息の合ったかけあい漫才は絶妙だ。2021年にコンビを結成。「アイアム」は、出エジプト記3章14節「わたしは、『わたしはある』という者である」(I am who I am)から。聖書の学びの場で聞いた言葉で、「ちょーかっこいいじゃん。これ、芸名にしよう」と、コンビ名に決めた。23年に上京し、現在は東京を拠点に活動を続けている。

「このネタを教会でやったら牧師の見る目が変わった」

まずは話題の聖書漫才から。
真偉:「クリスチャンとして教会に通っていると、聖書から名前を取っている人が多いのね」
勝利:「結構、いるよね」
真偉:「例えば、ルカの福音書から取って〝ルカちゃん〟とかね」
勝利:「かわいいよね。ちょっと珍しいけれど、マタイの福音書から取って〝マタイ君〟もいるよね」
真偉:「ヨハネの福音書から取って、〝福音書〟とかね」
勝利:「福音書? どっからとってるの? 取らないと思うけど」
真偉:「だいぶ珍しいよね…」
勝利:「新手のキラキラネーム付けないでね」
真偉:「例えばマルコの福音書から取って、〝福音書〟とかね」
勝利:「一緒だな? 別のところか取りましたという顔しているけれど、同じ名前になっているからさ」
真偉:「あと、テサロニケの信徒への手紙第一から取って、〝テサロニケの信徒への手紙第一〟」
勝利:「まんま? プチ寿限無(じゅげむ)みたいなのはやめて!…」

「クリスチャンの名前」という聖書漫才の出だしだ。クリスチャンネームの子どもらが集まる保育園の設定にはヨナ君、モーセ君、ダビデ君、ゴリヤテ君などが登場。五つのパンと二匹の魚をみんなに分け、水をぶどう酒に変えるイエス様も出てくる。笑いながら、聖書の様々なシーンを想像できる。
勝利さんは、「このネタを教会でやったら、牧師の見る目が変わった」と話す。「そもそも、聖書をネタにしていいのかと、すごく葛藤がありました。笑いの中には、人をあざ笑ったり、バカにする要素もありますし。でも、『いつも喜んでいなさい』(Ⅰテサロニケ5・16)という御言葉があるように、喜びの中には笑いもある。そんなお笑いを届けたいですね」

「ビッグになると野心を燃やし上京したが、甘くはなかった」

2人ともクリスチャンホーム育ち。だが、その歩みは対照的だ。

教会で聖書漫才を披露

新垣さんは中学生の時にお笑いと出会う。同級生にお笑い芸人の子がおり、その子に影響を受けて別の友達と文化祭に出演した。高校生の時は、県内のプロ一年目の芸人とアマチュア芸人が一堂に集うコンテストで優勝。それを機に、毎月のようにお笑いライブに参加するようになった。大学進学後は芸能事務所にも所属。「東京に行って、日本一の若手漫才師を決める大会M―1グランプリで優勝してビッグになる」と野心を燃やし、卒業後に上京した。だが現実は甘くはなかった。芸能事務所のオーディションで、当時の相方と自慢のネタを披露するも全然受けず、面接官からは酷評の嵐だった。別の事務所のオーディションでも結果は同じで、「初めてお笑いが嫌いになった。自分の高慢さに気づかされた」。
そんな中、遠ざかっていた教会の礼拝に足を運んだ。牧師のメッセージ、聖書の言葉に触れ、「初めて、このままでいいんだと思えた。これからは、神様に生かされながらお笑いをしていきたいと思った」。

まさいとならやれるかも。「僕とお笑いやらないか」

一方、金城さんは小さい頃から歌や踊りが好きだった、、、、、、

2024年02月25日号   04面掲載記事)