能登半島地震被災支援活動に関する、キリスト全国災害ネット世話人会(全キ災)主催の第4回情報共有会議が4月2日、オンラインで開催された。同ネットの加盟団体、現地の超教派救援組織「能登ヘルプ」(能登地震キリスト災害支援会)、及びそれに関わるキリスト教団体が報告した。
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最初に北野献慈氏(全キ災代表)が、ボランティア数の現状を報告。「1、2月のボランティア数が、熊本地震の時の9万人に比べ、5000人しか入っていない。キリスト教会も、能登ヘルプはじめいろいろな団体でボランティアを受け入れる段階に入ってきているが、なかなか集まっていない現状がある。様々な働きを聞きながら、教会として、団体として、私たちに何ができるのか、もう一度主の前に問われる時になればと思っている」と語った。

続いて7団体から、代表者が報告した。最初に、長下部穣氏(ワールド・ビジョン・ジャパン〔WVJ〕教会担当コーディネート)が報告。WVJが進めているプロジェクトとして、⑴子どもの日常を取り戻すための子ども支援、⑵学校等再開のための物資・備品支援、⑶支援者支援、を挙げ、「⑴では、子ども・保護者のための『ほっこり会』を七尾聖書教会で、子ども向けイベントを輪島市で、子どもの居場所支援を輪島市の門前町、または中央地区で行った。⑵では、学童・幼稚園・保育園への物資支援を七尾市で、学校への物資支援を輪島市で継続。また4月上旬まで学校への牛乳支援を輪島市全域の小中学校で実施。給食再開、学校防災倉庫などこどものためのやや大きな支援も行っている。⑶では、災害・事故など危機的な出来事に見舞われた人に対し、PFA研修(医師などの専門職以外の人が心の回復を手助けする支援方法)を行っている」と語った。

近藤高史氏(ハンガーゼロ総主事)は、「ハンガーゼロの働きは、能登では自分たちが独自でするのでなく、現地の働きに協力し、能登指定でいただいた募金を支援援助で用いていくこと」だとし、「今は、LOVE EAST(執行責任者・天野真信)が行っている、電動カッターでブロック塀を壊し撤去する働きに協力させていただいている」と言う。「危険も伴うので、素人の私たちが行って、独自にできることではない。この働きに、私たちが派遣するボランティアがお手伝いするという状況。ハードだが、本当に現地の人たちに喜ばれている働きで、大変、感銘を受けている」

森祐理さんが能登の被災者を慰問コンサート(写真提供=ハンガー・ゼロ)

また、ハンガーゼロ親善大使で福音歌手の森祐理さんが3月10日から12日まで、門前町、志賀町で慰問コンサートを行ったと報告。「小さなコンサートだったが、大変喜ばれた。今後、少しずつこういうことができるようになってくるのではないかと感じさせられた」と語った。

近藤氏の報告を受け、天野氏は、「ハンガーゼロから専任のボランティアを1人送ってくれている。力を合わせて支援活動できている」と感謝する。「LOVE EASTは、1月15日に羽咋市に行き、そこを拠点に、志賀町、穴水町などの行政、社協からの依頼を受け、活動している。これまで73軒のブロック塀を撤去し、のべ1046人のボランティアが一緒に活動してくれた。また、ハンガーゼロが資金援助をしてくださっている。できれば、表敬訪問させてもらった輪島市にも活動を広げたい」

ブロック塀を電動カッターで切るLOVE EASTのボランティアたち(写真提供=ハンガー・ゼロ)

一方、「あまりに範囲が広く、私どものような技能系ボランティアの人数が少ないので、なかなか作業が進まないのが現状だ」とも話す。「半端ない数の依頼が来ている。どこまでできるか分からないが、一つ一つ、依頼された方々に寄り添って可能な限り応えたい」と抱負を述べた。

石原靖大氏(いのりんジャパン代表)は、珠洲市の鉢ヶ崎オートキャンプ場で、井戸掘りをしていると報告。「一般社団法人Nature&Humans JAPAN(菅由美子代表)と協力し、地質調査専門の会社に外注して井戸を2本掘ってもらった。また、津波被害に遭った古井戸から、60センチほど入った砂をポンプで汲み上げ取り出し復旧する作業ももさせてもらっている。並行して、宿泊拠点があまりに少ないので、そういう場所の整備のお手伝いをしている状況だ」と語った。

岡田仰氏(能登ヘルプ代表)は、「最近では、重機隊の働きが進んでいる。輪島でも案件をいただき、輪島塗の老舗から貴重品を救出する作業を進めている。ボランティア活動も市来雅伸、諸藤栄一、中橋スティーブンの三氏のリードで働きが進められている」と現状を報告した。また4月18日、東日本大震災被災地の岩手県釜石市山田町で「お茶っこ」などの活動をしてきた元一般社団法人「いっぽいっぽ岩手」現地リーダーの高橋和義氏を招き「能登ヘルプセミナー 釜石支援の事例から学ぶ」をオンラインで、5月23、24日、全キ災主催、JEA援助協力委員会、能登ヘルプ共催のセミナーを内灘聖書教会(石川県河北郡内灘町)で行うとも語った。

その他、救世軍の吉田有氏、日本バプテスト連盟神奈川地方連合災害対策委員会委員長の根塚幸雄氏が報告した。