英国ファラデー科学・宗教研究所の特別セミナーが1月、大阪、横浜、東京の3か所で開催された。27日、神奈川県横浜市の日本基督教団横浜指路教会を会場に行われた講演の内容を連載で掲載する。今回は、同研究所所長グラハム・バッド氏による「テクノロジーと教会生活」。

聖書の価値観でAI問題に対応
リスクを認識し宣教に生かす

グラハム・バッド:英国アーム社(ソフトバンク資本系列)の前社長兼最高執行責任者。世界の半導体産業において30年以上の経験を持ち、同社の先駆的なシングルチップコンピューター設計の開発を複数主導した。

人工知能(AI)は人類が開発した最も強力なテクノロジーだ。そのリスクに関し、ケンブリッジ大学のホーキング博士は、「ひとたびAIが開発されれば、いずれ人類を追い越すだろう」と語った。しかし、神秘的で危険に思えたとしても、クリスチャンはAIを恐れるべきではない。神の約束は永遠であり、人間のテクノロジーなどに影響されるものではないからだ。

AIチャットボットの「自動会話」は、膨大なデータから人間が次に使いそうな単語を予測しているにすぎない。人類の堕落した性質のゆえに、しばしばAIによる会話は憎しみと嘘に満ちている。なぜならAIは、真実、愛などの概念を持たないからだ。したがって、AIに対しては、私たちには、聖書を確認しつつ、思慮深く関わることが求められる。

AIシステムが持つ価値観や倫理観と、人間のそれとをいかに整合させるかという課題もある。これは社会全体の問題であり、聖書の価値観を持つ教会はその問いに答えるべきで、そこに、テクノロジーの有益な使用を奨励し、支援するために教会が果たすべき役割がある。

実際生活においては、チャットボットとの「会話」による擬似的な「人間関係」(それが有害であることは研究によって明らかだ)や、教育や仕事において、私たちの生活を根本的に変えるAIに備えていく必要がある、、、、、、、

2024年04月14日号 07面掲載記事)