『〈一粒の麦〉となった女子高等教育の先駆者 津田梅子』
EHC(全国家庭文書伝道協会)編

2024年7月、新五千円札の顔となる津田梅子。発表されるや否や「津田梅子って?」という声が起こり、のちに豪華俳優陣によるスペシャルドラマも放送され、話題となった。津田梅子とはどういう人物なのだろうか。このトラクトでは、注目を集める津田梅子の人生を章立てて紹介する。

華やかな色合いで、合間に写真を挟みながらの全4頁。父から留学の話を聞くや否や「アメリカに行きたい」と自らの意思で答えたという、梅子の幼少期。そんな彼女を迎えた、熱心なクリスチャンであるホストファミリーとの交流。やがて、自らの強い意志で「洗礼を受けたい」という言葉を口にしたこと。信仰なしには語れない人生をたどり、「学校をつくりたい」という思いに突き動かされていった梅子の晩年まで語る。校舎とも言えない一軒の借家と新入生10人からはじまった津田塾大学は、梅子のスピリ ットのもとで着実に成長し、今日に至る。

トラクトでは、梅子自身も心に留めていた「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままです。しかし、死ぬなら、豊かな実を結びます」(ヨハネの福音書12章24節)を紹介。幼い少女が踏み出した先で、神と出会い、日本社会への女性の進出に豊かな実を結ばせていく。彼女の人生は、まさに一粒の麦そのものだったことを読者に伝えている。

現在、大河ドラマや朝ドラでも、女性にスポットライトがあたっている。この時代に、梅子がお札の顔に採用されたというのも、今なお続く壮大な計画の一部、そして梅子が確かに残していった一粒のように思えてならない。新たなお札が広くわたる今、トラクトを通して、その種を広くまいてみたい。関連本『梅子と旅する。日本の女子教育のパイオニア』(フォレストブックス編)の紹介つき。1セット50冊、825円税込。
【松尾結実】

2024年05月26日号 05面掲載記事)