【ひと】植物から、創造のすばらしさ触れる 尾關ちづる さん
尾關ちづるさん
植物画家の尾關(おぜき)ちづるさん。様々な出会いを通して、教会で植物と人、創造者がつながる働きにも取り組んでいる。【高橋良知】
6月初旬、名古屋市郊外の丘の上にある同盟福音・天白教会の庭には、アジサイなどが咲きほこっていた。白い大輪の花はアジサイではなく、アナベルと言う。「シロツメクサは乾燥させて、運搬用の緩衝材として使われた。木賊(トクサ)は茎がザラザラして、砥石(といし)代わりになる。ビワは昔から『捨てるところなし』といわれ葉っぱはお茶になり、種は漬け込むと良い香りが出ます…」。庭を歩きながら次々と植物に目が止まった。
同教会には、バラエティー豊かな樹々草花が植えられている。ドイツ人の宣教師の方針で、洗礼記念の樹を植えたという歴史がある。さらに教会員が自主的に植物を持ち寄った。
尾關さんがキリスト教に出会ったのは幼稚園児のころ。「天幕伝道」が近所の新興住宅地であり、その映画上映会に興味をもって入った。十字架を背負って歩くイエスの姿を見て、「この人が本当に神様だ」と感動したという。小学五年生のとき、親友に誘われ、中高時代まで教会に通った。しかし洗礼については両親に反対された。
結婚後、子どもが生まれ、再び教会に行きたいと思うようになった。中高時代に通っていたキリスト教学校の牧師に相談し、教会の紹介を受け、27歳で受洗した。その後引越しをして現在の教会に所属する。「子どものためにも、と熱心に教会に通っていると、両親もキリスト教信仰を持ち、葬儀も教会で出来た。すべて神様がそなえてくれたと思います」
草花には様々な効能と歴史がある
教会員が様々な草木を植えてきた
幼い時から、絵が好きだった。「当時は、『画家になるなどもってのほか』、『女性は花嫁修業すべき』という風潮だった。子育てが落ち着いたころ、市民向けの絵画講習を知り、気軽に参加してみた。植物画に限定していたわけではなかったが、母は絵が上手で、父は庭いじりが趣味。父が育てた植物を描くようになりました」
講師に、国立科学博物館のコンクール出品を勧められ、入選することが出来た。また日本植物画倶楽部(URLart-hana.com/)にも入会した。同クラブは「植物画を描き又は鑑賞することを通じて自然に親しみ、自然を慈しむ心を涵養(かんよう)すること」を理念とするNPO団体。作品展のほか、自然観察会、研修、講演会などを催す。環境問題にも対応して絶滅危惧植物、帰化植物、日本の固有植物をまとめた図譜集も発行している。
尾關さんは、名古屋市の東山動植物園での展示運営に尽力したことをきっかけに、本部の会計を担当。全国の活動にかかわり、2019年から今年5月まで会長を務めた。この5年間は特にコロナ禍の対応に追われた。緊急事態宣言発令で作品展を途中で閉じざるを得なくなるということにも直面した。
「植物を描いて気づくのは、植物がよくできている、ということ。道端の草花の良さを、子どもたちに伝えていきたいな、と思い、、、、、、、
(2024年07月21日号 04面掲載記事)