戦後79年の8月15日早朝、今年も東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で「8・15平和祈祷会」(同実行委員会主催)が開催された。憲法学者の斎藤小百合氏(恵泉女学園大学教授)がイザヤ書53章2~7節から「低みに立って」と題してメッセージをした。

グループに分かれて共に祈る

斎藤氏は「こんな私が生きていけるのかなと思えるようになったのが、まさにこの個所。ここに描かれている、軽蔑され、見捨てられ、痛みを負い、最底辺を生きるアナウィム(へブル語で「貧しい者、虐げられた者」の意)として生きたイエスの存在だった」と語る。

斎藤小百合氏

「コロナ前、『ガリラヤに生きたイエス』著者の山口雅弘さんの企画でガリラヤを訪れた。ローマ帝国の支配、ローマによるイスラエル傀儡(かいらい)政権の支配、ユダヤ教の神殿体制という三重構造の中で、ガリラヤの人々は経済的に圧迫され、貧困、栄養失調、それに伴う心と体の病に苦しんでいた。今のパレスチナの人たちの苦境と重なる。そのガリラヤで、イエス・キリストがアナウィムとして生きられたという真実があった」

炎天下の中集まり、話を聞く人々

「イエスは弟子たちに『ガリラヤで会おう』(マルコ16・7参照)と言われた。現在のガリラヤはどこだろうか? パレスチナの人たち、違法な閣議決定で人生そのものを失われてしまったハンセン病の患者たち、無慈悲な入管監理施設でいのちを奪われた収容者…。現在のガリラヤが目の前にある。私にとってのガリラヤは、本来、憲法が保障するはずの平和的生存権が奪われていることに対し、それを回復すること、平和的生存権を実現すること。9条も危機にあるが、それでもまだ手放していない。神様が共にいてくださることを信頼し、行動を起こしていきたい」と語った。

説教の後、各グループに分かれ、「私のガリラヤで平和を求めていけますように」と祈りをささげた。