南海トラフ大地震が発生した場合、地震や津波による甚大な被害が想定される東海、四国、九州にある教会の災害支援ネットワークの関係者に話を聞いた。

東海地区に関しては、TEF(東海福音フェローシップ)災害対策委員会(以下・TEF)、TCDN(東海キリスト者災害ネット)のオブザーバーとして関わる近藤高史氏(ハンガーゼロ総主事)に話を聞いた。
─災害対策においてTEFは、東海地域の福音派諸教会のネットワークとして30年近くの歴史があり、その存在は大きい。だがTEFだけでは弱いので、日本基督教団やペンテコステ系の教会とも協力し、2019年にTCDNが立ち上がった。3者が地震発生時に情報共有し、臨機応変に連携して救援活動をするためのネットワークで、網みたいなものだ。普通の網では漏れてしまうが、網の目を細かくし広げていく。そうすることで、緊急に連絡を取り合って対応する。ネットワークにネットワークを重ねることで、漏れる人を少なくする。
災害時に何をどうするかは、各個教会に委ねられている。例えば、私が所属するグレイスゲートチャーチ(愛知県名古屋市港区)は、愛知県武道館から歩いて2、3分だ。災害が起きたら、武道館には千人以上が避難することになる。教会には最高100人泊まれる場所があるので、被災地での前線基地を想定している。各教会が置かれている場所で、平素から自分たちのリソースは何か、何ができるか、何をすべきか、災害時を想定して備えておくことが大事だと思う。
水、食料などの備蓄も各教会が自主的に行っているが、全体的に把握しておらず、その点は弱いか。要は教会同士が緩やかな良い関係を保ちつつ、いざという時に協力し合う。その時にTEFやTCDNが架け橋になる。
TEFはすでに8回、能登の被災地にボランティアチームを送っており、すでに外の教会、支援団体と携帯電話1本でつながる関係もできている。支援する側から受ける側になった場合、その点は大きなメリットだ。
回復力、復元力という意味のレジリエンスという言葉がある。教会は、災害が起きた時、その地域にあって、いかに早く元に戻れ、支援する側に回れるかが問われる。教会のレジリエンス力が地域における災害支援と、その先の地域宣教につながる鍵ではないかと思う。─

2024年09月01日号 06面掲載記事)