第四回ローザンヌ世界宣教会議(9月、韓国仁川、オンライン)に向けて、毎週配信中の「ローザンヌ運動ポッドキャスト」(URLlausanne.org/podcast-series/lausanne-movement)から主要な論点を紹介する。第24~29回(3~4月配信)は多様な内容。

 

前回

健全な資金調達とは 第四回ローザンヌ世界宣教会議への旅⑧

 

第24回配信は、ネパールのヒマラヤン・ホープ財団の創設者であるクマール・アヤルさん。貧しいが、改宗を禁じる憲法をもつ同国の中で、同財団のビジョンは、個人、家族、コミュニティー、そして国全体に対して包括的な方法で支援すること。心理的、社会的、精神的な開発を展開し、クリスチャンと社会の両方のリーダーを育成している。地元の教会、地方自治体や地元のリーダーと協力する。アヤルさんは「信仰と社会的行動は分離できない」と言う。

第25回配信は、南部バプテスト教会北米宣教委員会の研究および資源開発担当副代表のトレビン・ワックスさん。米国の教会について、「世俗化と市場志向が強まっている。制度に対する不信感がまん延していることを教会指導者は認識してほしい。信仰の危機を共に歩むことが重要」と述べた。世界宣教において多中心化が進む中で米国が貢献できることとして「起業家精神」を挙げた。数々の著書をもつ作家でもあり、対立や意見の相違の対処法や読書の重要性にも言及した。

第26回配信はイスラエル人とパレスチナ人の和解に取り組む「ムサラハ」のサリム・ムネイヤーさん。パレスチナ人とユダヤ人のクリスチャン学生や牧師の会合の場を設けたが「失敗」した経験などから、和解について考察を深め、「ムサラハ」を創設した。砂漠で時間をかけて人間関係を築き、自らのアイデンティティーの中に他者を受け入れ、共同の物語、歴史を構築するプログラムを実施してきた。昨年来の紛争の背景にも言及し、「神が歴史を動かす。正義を求めて」と語った。

第27回配信はスペインで開拓宣教に従事してきたロン・アンダーソンさん。スペインの開拓プラットフォームのための円卓会議の代表。2000年までにスペイン・コルドバ県で30の教会をつくるというビジョンに取り組んだ。「キリスト中心の教会であり、弟子を作り、コミュニティーで働き、各人の霊的な賜物を特定し、彼らが宣教に出ることを可能にしている教会」であることを励ます。

第28回配信は昨年逝去した、宣教団体OM創設者のジョージ・バウワーさんの秘蔵インタビューから。異文化間のリーダーシップ、祈りの重要性、夫婦や家族の関係性などに言及。若いリーダーに向けて、「多くの人に祈ってもらおう。あきらめず前進し続ける決断をしたい。その過程で悔い改めをしてほしい。現実世界はぐちゃぐちゃだ。それは旧約聖書も歴史も語っているから落胆しないで。神はあなたに二度も三度もチャンスを与える」と励まし、性・金・エゴに注意するよう忠告した。

第29回配信は、エチオピアで学生宣教にかかわる米国人宣教師、リチャード・コールマンさんが異文化ミニストリーについて語った。エチオピアの学生伝道団体IVASUは、国際福音主義学生連盟(IFES)加盟団体中でも最大規模。5万人の学生と関わる。今後7万人に増加すると見込む。国家の最高機関に関わる卒業生もいる。コールマンさんはリーダーの訓練、ケアに従事する。異文化問題については「互恵性」を重視。「支援する側からだけでなく、支援される側からも、という双方向的な関係を築く余地をもってほしい」と勧めた。 【高橋良知】

2024年09月01日号 07面掲載記事)