碓井 真史 新潟青陵大学大学院教授/心理学者

「闇」や弱さも自己の一部として

ディズニー・ピクサーのアニメ映画は、子どもが楽しむだけではなく、大人も感銘を受けるテーマ性を持っている。この夏の新作アニメ「インサイド・ヘッド2」も、人間のあり方を問う秀作だ。物語の舞台は、女の子ライリーの頭の中。頭の中の「感情」たちが、キャラクター化されて描かれる。

物語では、人間の記憶の数々が「思い出ボール」として表現される。膨大な思い出ボールの貯蔵場所があり、必要に応じて記憶が再生される。家族に関する記憶、友達や学校、スポーツに関する記憶などが各々集まり、家族の「島」、スポーツの「島」などが作られている。

これは、かなり心理学的だ。私たちの思考やイメージや価値観は、どのような記憶が思い出されるかによって左右される。人生を振り返り、失敗や恥や恨みを思い出しやすい人もいれば、感謝や成功や愛を思い出しやすい人もいる。そして、その時々の感情も大切だ。前作パート1では、感情たちが「ヨロコビ」だけでなく「カナシミ」も大切だと学ぶ。

今作パート2では、小学生だったライリーが思春期となり、進路選択の時期を迎える。ライリーのセルフイメージは、「私は良い子」だった。自信がない子どもが増える現代において、自己肯定感は大切だ。しかし、彼女の自己肯定感は子どもっぽいものだった。広い世界に羽ばたこうとして、彼女は自信を失う。「私はダメな子」。そう思い込んだライリーは、必死になって自分を認めてもらおうと無理をする。でも、そんなことをしても事態は悪化するだけだった。

感情たちは、できるだけ良い記憶だけを集めて、明るいセルフイメージを持たせようとしていた。しかし、それだけでは不十分だと感情たちは学ぶ。人には、弱い部分、暗い闇の部分もある。そんな思いも全て含めて、総合的な自分自身を作り上げていくのだ。

本当の自分に向き合うことから

映画は、心理学的に見れば自分探し、アイデンティティー(自我同一性)確立への物語とも言えるだろう。さらに、クリスチャンとしてみれば何を感じるだろう。私は「罪」の問題を感じた・・・

つづきはウェブ版で

 

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