アベイラブル(available)。本書によれば、ひと言で「あなたと共にいる」という意味の言葉だという。40年間がん患者に寄り添い続け、自身も肺がんを患い2014年に亡くなるまで患者に寄り添った、精神科医の丸田俊彦が大切にしていた姿勢でもある。
 本書は丸田が語った20の言葉、アメリカでの体験、がん患者として語った言葉などをまとめると共に、丸田のグループカウンセリングを受けた人たちの言葉、丸田と関わりのある3人の編著者が、それぞれの立場で患者の心をみることについてつづったものをまとめたもの。そこに一貫して流れているテーマが、アベイラブルだと言える。
 アベイラブルについて丸田はこう語る。「相手が望むような形で、いま、私はここにいて、あなたが問いかけ、話しかけ、関わり合おうとすれば、いつでもここにいますよ、というあり方。(中略)相手に対して、こちらの都合で何かするということは基本的にはしない、という姿勢…」
 相手がいてほしい時にそこにいてあげる。あなたがしたいならすればよい、でもやめるならやめていい、という姿勢を見守り続ける。そんなアベイラブルでありつづけてくれる人の存在は大きい。だが、これは結構難しいとことでもある、と。(9月9日号で詳細)