災害から2か月を経たが、現在も呉ボランティアセンターのプロジェクトは継続している。週2回の泥出し清掃プロジェクト、重機とダンプで土砂や瓦礫(がれき)を撤去する重機プロジェクトは9月末まで続く。安芸津キリスト教会会堂再建プロジェクトも進行中だ。今後は傾聴や孤独にさせないことを目的とした仮設住宅への物資配布も検討中だ。
 今回の災害救援活動で特に感謝なことの一つは普段は、それぞれの働きをしている私たち日本福音同盟(JEA)系の団体と日本基督教団が一つとなって緊密な協力ができてきたことだ。それには日本基督教団呉平安教会牧師の小林克哉先生の存在無くしては語れない。小林牧師に経緯や思いを語っていただいた。

──「小林先生、呉平安教会をボランティアの宿泊場所として使わせてもらえないでしょうか」。内山忠信牧師(インマヌエル呉キリスト教会・呉牧師会会長)からの電話だった。「教会役員会の承認が必要ですが大丈夫だと思いますよ」。呉の諸教会は毎年呉市民クリスマスを行うなど日頃からの交わりがあった。だから、当たり前のように話は進んでいった。日本基督教団である私たちの教会も当然のこととして加わっていった。
 豪雨災害により遮断されていた道が次第に通行可能になり、礼拝に出席できずにいた教会員や求道者を7月16日に訪ねた。洪水被害の祖母宅を片付ける姉妹を手伝い、小さな礼拝をささげる。姉妹の姿を見て突然、牧師にスイッチが入ったと言ったらいいだろうか、何としてもこの姉妹を助けるとの決意が与えられた。結果、ボランティア宿泊受け入れだけでなく、私も一緒に現地に赴いて活動することになる。気がつけば最初から最後までスタッフの一人としてご奉仕させていただく恵みを与えられた。
奉仕を始める前の祈りだった。海外から来ていた姉妹が「神様、あなたはこの町を、この町に住む人を愛しておられます」と祈られた。洪水後の風景を見ながら、この町を神が愛しておられることを不思議に深く確信し実感した。
 全国各地、海外からのキリスト者たち。その働きと存在は、この町とそこに暮らす人々を神が愛し見捨てておられないことのしるしに思えた。そんな兄弟たちの宿泊場所。神がこの町に遣わしてくださった兄弟姉妹への感謝の思い、その献身的な姿に心打たれ、少しでもよい環境で休んでもらいたいと心から思い、妻が中心となり毎日部屋を整えた。
 宿泊してくださった牧師先生や兄弟たちと祈る機会を度々与えられ、力と慰めとなった。教派を超えて、キリストの名によって結ばれる者たちが共に奉仕できたことは、神の恵みの出来事であった。
 今年3月、宗教改革500周年青年大会(リフォユース500、日本基督教団主催)がJEA青年委員会や日本ペンテコステ・ネットワーク(JPN)などが協賛団体となり、これまでにない広がりの超教派の大会を行った。私は教団の責任者の一人であったが、青年伝道のために一つとされる喜びを経験した。その同じ年、JEAの教会を中心に、JPN系や日本キリスト教協議会(NCC)系、日本基督教団も加わらせていただき共に災害支援活動をすることになった。一つとされた私たちはこの町に住む人々を神が愛しておられることのしるしとされる経験をしたのだと思う。──

その他、日本基督教団からは多くのボランティアの派遣、22台のエンジン付き高圧洗浄器献品、9月分の重機プロジェクト支援献金など重要な役割を担ってくださり感謝である。同教団から石橋秀雄総会議長等の代表団、さらには多くの教区から代表団が視察と慰問にも来てくださり大いに励まされた。今回のように他の地域でも互いの賜物とリソースを用い一致協力して災害支援活動ができればなんと麗しく、またより良い働きができるのではないかと思う。(レポート・北野献慈=キリスト教会・広島災害対策室室長)