2019年02月10日号 03面

 世界150か国にわたって、キリスト者への迫害の状況を調査し、迫害の深刻な50か国の年間ランキングを公表している宣教団体「オープン・ドアーズ」が、「ワールド・ウォッチ・リスト2019」をリリースした(2月3日号で一部既報)。公表されたリストから、全世界の迫害の傾向、各国の状況、祈祷課題を抜粋する。

 迫害の傾向

 〇女性に対する迫害

 女性は、自分の信仰と女性であることのゆえに「二重の迫害」を経験している。女性に対する性的な暴力は、クリスチャンのコミュニティーを破壊する有効な方法であり、行為の性質からなかなか表面化せず、その実態を把握することは困難である。

 〇イスラムの弾圧が継続している

 上位7か国の迫害の主原因はイスラムにある。彼らの中でクリスチャンは二流の市民として扱われ、職業差別に遭い、暴力にさらされることもある。

 〇世界最多人口の中国とインドがランキングされている

 ともに13億人以上の人口を要するインドと中国が、10位と27位に入った。インドは初のトップ10入り、中国は昨年の43位から一挙に16位上昇した。

 〇サハラ砂漠以南へのイスラム過激派の拡大

 中東を追い出されたIS(イスラム国)や他のイスラム過激派がサハラ以南のアフリカに拡散し、女性や少女を奴隷にしている。

 〇法律による宗教統制の拡大

 顔認識システムなどのデジタル技術を利用して、国家による宗教上の権利の厳格な管理が強化されている。

 迫害状況、祈祷課題

 〇北朝鮮(1位)終わりのない圧力と暴力

 3世代にわたる金ファミリーの偶像化が行われ、クリスチャンは根絶されるべき敵対者と見られている。▽外交努力が実を結び、迫害が軽減されるように▽当局とノンクリスチャン家族、友人からの迫害からクリスチャンが守られるように▽労働収容所、僻地農村部で苦しむクリスチャンのために。

 〇アフガニスタン(2位)キリスト教の存在が許されない

 イスラム国家ゆえに、他のすべての宗教に敵対的。改宗は、家族、部族、国家への裏切りであり、反逆罪と同等。▽改宗者に勇気と保護が与えられるように▽支配層が軟化するように▽接触を完全に断たれ孤立しているクリスチャンのために。

 〇ソマリア(3位)暴力と孤立の毎日

 99%がイスラム教徒であり、クリスチャンへの迫害はほぼ暴力を含む。多くの農村地域では、イスラム過激派が支配者。▽孤立したクリスチャンの安全と信仰のために▽暴力と抑圧から守られるように▽政府指導者の救いのために。

 〇リビア(4位)混乱と暴力

 イスラム過激派のゆえに、信者は虐待と暴力にさらされている。移民も標的にされ、信者の場合はさらに激化する。▽孤立した信者が連帯し、勇気付けられるように▽二重に迫害される移民の信者のために▽政情が安定し、宗教的少数者の権利が守られるように。

 〇パキスタン(5位)露骨な差別と暴力

 冒涜法により、信仰は死刑の可能性を含む。政府はイスラム過激派とも関係を維持し、信者は二流市民とみなされる。▽ムスリムからの改宗者のために。彼らは背教者、家族の恥と見られている▽冒涜法により告訴された信者が暴力から、不当な裁判から守られるように。

 〇スーダン(6位)イスラムを支持する独裁者

 少数派宗教に対する権利が制限され、言論、報道の自由が抑圧されている。教会の建物が複数破壊され、礼拝の場が無くなった。▽破壊の恐れの無い礼拝場所が与えられるように▽背教の告発に対して、改宗した信者が強められるように▽聖霊が指導者たちの心に働き、彼らが正義と平和を希求するように。

 〇エリトリア(7位)非人道的な刑務所と悲惨な人権侵害

 2018年に起きた教会への襲撃により、何百人もの信者が非人道的な状況で投獄された。その後の消息は不明である▽投獄された信者のために▽アフェウェルキ大統領に神が働かれ、福音の真理が明らかにされるように▽信者が協力し、一つとなれるように。

 〇イエメン(8位)イスラム主義がもたらす戦争と不安

 内戦による人道危機が国内に混乱をもたらしている。信者は迫害され、私的な礼拝さえ危険な状況にある▽内戦が治まるように▽生活、医療物資が確保されるように▽改宗した信者が勇気と忍耐を持てるように。

 〇イラン(9位)改宗も説教も違法

 信者は未信者への信仰表明を禁じられている。そのため、公用語であるペルシア語での礼拝は許可されていない。地下の家の教会への出席は、逮捕の危険をともなう。信者の権利と職業選択は厳しく制限されている▽法律が改正され、信教の自由が認められ、改宗信者の危険がなくなるように▽家の教会に集まる信者が守られ、証しができるように。

 〇インド(10位)信者に対する継続的暴力

 ヒンズー教徒の過激派による攻撃が増加している。彼らはヒンズー教徒でないインド人を認めない。改宗者は極度の迫害、差別、暴力にさらされている▽ヒンズー教に戻るよう圧力をかけられている改宗信者のために▽神の備えと守りにより、福音を語れるように▽インド政府が宗教的自由を認めるように。