「巨匠が描いた聖書 ベストセレクション出版記念講演会」(いのちのことば社フォレストブックス主催)が5月24日、東京・中野区のいのちのことば社チャペルで行われた。
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著者の町田俊之氏は、富士見キリスト教会(埼玉県)の牧師を務めるかたわら、バイブル&アートミニストリーを主催。クリスチャンのアーティストによる美術展を開催するほか、教会などで絵画と聖書の解説を行う講演が好評を博している。
この日の講演会の冒頭では、まず聖書との出合いや、入信後の歩みなどを語った。装飾のほとんどないプロテスタント教会は、カトリックに比べてキリスト教美術を評価しない傾向がある中で、信仰生活と美術は相いれないものなのかと葛藤したという。しかし、ある時、「イエスは言葉の画家である」という牧師の説教を聞いたことが転機となり、「美術は神が与えてくださったが故に、決して神格化されてはならず、神が与えてくださったが故に、決してさげすまれてもならない」(『クリスチャン アーティスト』燦葉出版社刊)と確信するに至り、美術を通して神をたたえる「バイブル&アートミニストリー」の創設につながった、という体験を語った。
講演の後半では、今回発行された本から7点の絵について、大きなスクリーンに絵を映しながら、その絵画的、聖書的な解説を展開。作品に込められた画家の意図を知り、聖書をベースにしたテーマと関連づけることにより、その絵画の魅力をさらに深く味わうことができた。
中でも興味深かったのは、ゴッホの「善きサマリヤ人」の絵が、ドラクロワの有名な作品をベースにアレンジしたものだったという話だ。
「ゴッホも、いわば塗り絵をやって、後世に残る作品を作りました。その意味で塗り絵はバカにできないのです」(町田氏)
今回の新刊に合わせて発刊された『ぬり絵で楽しむ巨匠が描いた聖書の世界』(いのちのことば社)は、町田氏が監修し、『巨匠が描いた聖書 ベストセレクション』で取り上げた絵画から、全28点を掲載している。聖画を味わう新たな手段として注目を集めている。
会場には、絵画に興味のあるクリスチャンのほか、クリスチャンでない方々も訪れ、講演終了後には著者との交わりに花が咲いていた。(レポート・砂原俊幸=いのちのことば社月刊誌「百万人の福音」編集長)