「教会増殖ビジョンセミナー」で角本氏 下北半島で「宣教のうねり」


「教会増殖ビジョンフェスタ2019in東京」(同実行委員会主催)が7月8、9日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開かれた。当日は、被災地、地方都市、都心の教会で起こっている「主の御業」「教会増殖のうねり」を、各地の教会牧師が報告。今年、来年開催されるラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックに向けた「スポーツ伝道のうねり」、アジアなど世界で起こっている「宣教のうねり」についての報告もあった。また、日本の教会増殖に向けた祈りとチャレンジ、グループ別に分かれてのディスカッション、都心・地方・未伝地・スポーツ・祈り・働き人育成・在日外国人などの各宣教のテーマ別ミーティングも行われた。【中田 朗】

教会増殖ビジョンフェスタは2014年、東京で始まった。場所を変えながらの開催で、今回で5回目となる。
最初に準備委員の播義也氏(保守バプ・恵泉キリスト教会埼京のぞみチャペル牧師、アジアンアクセスジャパン ナショナルディレクター)が同フェスタについて説明。「セルグループ、ハウスチャーチ、2、3人以上の教会など、主にある共同体が増殖していくことを通して、福音が日本全体に満ちていくことを夢見る人たちが集う機会を持ってきた」と語る。今年のねらいは「日本各地で見せられている教会増殖のうねり」だとし、「神様は被災地の教会、地方教会、都心の教会で主の働き人に教会増殖への思いを与えてくださっている。その証しを聞き、情報共有し、顔を合わせることで、一緒に2020年(オリンピック・パラリンピック)、23年(日本伝道会議)に向けた主からのビジョンを共有する時としたい」と語った。
「地方都市での主の御業」として、最初に証しをしたのが角本尚彦氏(バプ連盟・青森バプテスト教会主任牧師)。青森県むつ市出身で、アメリカ留学中、クリスチャンになったと語る。「福岡県北九州市で8年ほど牧会していたが、いろいろ大変な状況があって一度牧師を辞め、3年ほど長崎でみかん栽培をしていた。その後、神様の不思議な導きで、もう一度牧師として立たせていただくことになり、『神様、一体、どこに私を遣わされるのですか』と祈っていたら、青森の教会から招聘(しょうへい)された」
青森に赴任後、生まれ故郷のむつ市で伝道することに。「青森の教会での最初の礼拝で、私のところに一人の男性が走り寄ってきた。むつ市出身で、『今度の日曜日は私の誕生日なので、角本先生から洗礼を受けたい』と。私は洗礼を授けた。彼は月1回、青森まで2時間かけて礼拝に来ていたが、『月に1回はさみしいでしょう。私が行って礼拝しましょう』ということで、むつ市で礼拝が始まっていった」
礼拝場所は、韓国人クリスチャンが経営するレストラン。3人で礼拝を持ったが、3か月後、レストランの従業員の女性が礼拝に参加。賛美している時、彼女は急に泣き始めた。「聖霊に触れられているのだなと思い、勇気を出して『イエス様を信じませんか』と言ってみたら『はい』と返答、初めての礼拝で信じた。以後、始めてから1年で10〜15人ほどの礼拝になった。むつ市は日本三大霊山、恐山の麓。いたこが口寄せする風習が残る地域で礼拝をしている」
6月に米サンフランシスコ市にある韓国系アメリカ人教会のマラナサビジョンチャーチから15人の宣教チームが来日。1週間、青森市、むつ市、秋田県大館市で宣教活動を行った。青森では15か所回ったが、「最後の3日間で15人が救われた。そのうちの2人は私の両親だった」。
なぜマラナサビジョンチャーチと一緒に宣教することになったのかについて、こう語る。「2017年、秋田で『未伝地を福音で覆う』を目標としてカバレッジビジョンセミナーが行われ、そこにインドで教会増殖運動を展開する安カンヒ氏が講演。そこで、今回宣教チームを送ってくださったマラナサビジョンチャーチのドクター・キム主任牧師とも出会った。このセミナーを通じて北東北宣教ネットワークが設立。インドにも1週間行き、多くの人が救われ、教会が生み出されていく現場を目撃した。そのスピード感を体験した私は、頭の中でパラダイムシフトが起こった」
角本氏は、「インドで体験したのと同じことを体験できないかと考えた」。インドでは、ルカの福音書10章に書いてあるとおり、収穫の主に働き手を送ってくれるように祈り、どの家に行ってもその家に平安があるようにと祈っていた。家に連れていかれると、「平安の子」(イエスに心を開いている人)が家族や友だちを集めていた。チームのメンバーはそこで自己紹介し、賛美し、証しをし、福音を語り、信仰の招きをしていた。そこで、「教会にいる『平安の子』たちに呼びかけて、自分の家族や友だちを家に集めてもらえないかとお願いしました」。
こうして、青森の15か所を回ることに。お茶の先生の自宅、福祉施設の工房、コンニャク屋などを訪問。国際交流ということで、青森大学の英語の補習授業でも福音を伝えた。そして、どこでも自己紹介、賛美、証し、福音、信仰の招きの順で行った。招きでは信仰決心に至らなかったが、後のフォローアップで決心する場面もあった。
角本氏の実家も訪問。ここでも、いつもの順で進行。宣教チームの牧師が証しをし、角本氏が通訳した。長年、両親、特に再婚した父にはなかなか福音を伝えられず、「どうしたら伝えられますか。聖霊様、力を下さい」と祈り、苦闘してきたが、「通訳という方法で大胆に福音を伝えられている自分の姿に驚き感謝した」。両親は「イエス様を信じますか」という招きに、手を挙げた。
「両親の救いを目の当たりにして、聞かれていない祈りはないと確信した。このことが皆さんの上にも必ず起こると宣言します」と結んだ。(次号につづく)