「繰りかえさない」日韓関係悪化の中で祈り 柔和さを実践し続けて 関東大震災記念追悼合同早天礼拝

写真=追悼と祈りの時となった。講壇に金牧師

 96年前、関東大震災の直後、流言によって数々の「朝鮮人虐殺」が引き起こされた。この悲劇を心に刻む記念追悼合同早天礼拝が東京・千代田区の在日本韓国YMCAで9月2日、開催された。当時を思いつつ、日韓関係が緊張する現在の課題も覚える時となった。同会は東京YMCA、東京聖都市化運動本部、在日本韓国YMCA合同により開かれた。在日本韓国YMCAでは、関東大震災の翌年から「朝鮮人」の追悼が継続した。東京YMCAでも賀川豊彦らによって懺悔と追悼の取り組みがあり、近年その働きを再開し、合流するようになった。【高橋良知

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 司会として祈祷した田附和久さん(在日本韓国YMCA国際文化部主任)は、「96年を経た今、大変厳しい状況になっている」と憂いた。「私たちは、過去の出来事を忘れず、次の世代に伝え、過去の過ちを決して繰り返さないと心に深く刻みたい。それを行っていく勇気を一人ひとりに与えられるように。一人ひとりが和解、平和の道具として用いられるように。世界は一国中心主義であふれているが、その中で、まことの平和を築き上げることができるように」と祈った。

 メッセージは金容昭(キム・ヨンソ)氏(在日大韓基督教会西新井教会担任牧師)。「柔和さの実践」と題して、創世記26章15〜25節のイサクの姿勢から二つのことを語った。

 一つ目は、信仰者の姿。22章のモリヤ山での出来事を紹介し、「アブラハムは120歳前後、イサクは青年。イサクは抵抗することはできたはずだが、祭壇に上がった。父の命令に従うとともに、その背後の神様に身を委ねる柔和さを見る」と述べた。「心の中から柔和さを取り去るとどうなるか。隣人の話す内容を、疑いの心で聞いてしまう。『自分さえ良ければ』となる。それは神様が悲しみ、サタンが大喜びすることです」

 「私たちが、どんなに悲しみ、苦しくてもインマヌエルの神様が共にいる。イエス様はすでに十字架の血潮で私たちの罪を贖った。聖霊の神様が私たちを導く。まず隣人に私たちから手を差し伸べたい。96年前にすべての人がこのように考え、愛に満たされていれば、お互い助け合うことができただろう。まず神様を愛し、あなた自身のように隣人を愛すること。何度も読んだ聖書の言葉だと思うが、繰り返し、繰り返し、味合わないといけない」と勧めた。

 二つ目は、信仰を基準にして生きる。「クリスチャンは、自分より隣人、隣人よりまず第一に神様を大事にする。正直者はバカを見ると言われる。瞬間はそう見えるが、長い目でみると、正しさが分かる」と話した。

 「イサクの信仰は柔和さに裏付けされていた」と言う。「祝福は神様から来ることを知っていた。イサクは井戸を取られても退き、争わなかった。その後、神様がイサクに現れると、イサクは礼拝した。困難の中にあってもまず聖書を開き、導きを求める信仰でありたい」と語った。

 「96年前に起きたことは、今はどうすることもできない。できることは、いつまでも覚え続けること、そしてこれからは隣人と仲良くしよう、と思いやりを示すこと。日韓政府の対立がある。だが再び過ちを繰り返さないよう、どんなときも愛を示し、霊的に目を覚まし、まず神様に目を向けて、信仰の基準に生きる。そのことで素晴らしい恵みを受ける。神様は『雄々しくあれ、私はあなたとともにいる』と語る。一人一人賜物、与えられている役割がある。その役割を、信仰の人生を歩んでいきたい」と励ました。