[レビュー3]CD「『命の響き』小オルガンによる無限の可能性」「Love & Ballads」
新しい一年を迎えるこの時期、ゆったりと聴ける2枚のアルバムを紹介。
「『命の響き』小オルガンによる無限の可能性 西東京教会富田一樹オルガン・リサイタル」(全11曲、エルピス企画、3千300円税込)は、世界的なオルガン奏者富田一樹を迎えた2019年4月のリサイタルをライブ録音。一曲目N・ブルーンスの前奏曲ホ短調「小」が開会のファンファーレのように高らかに響き、フレスコバルディの瞑想的な調べ、ブクステフーデの豊穣な音などイタリア、ドイツの楽曲が続く。後半は主にバッハの多彩な音楽で構成される。音響を重視して建てられた日本基督教団西東京教会礼拝堂の残響をそのままに録音。静まり聴く人々の姿も目に浮かびそうだ。
「Love & Ballads」(全13曲、ケー・フィールド制作・発売、ライフクリエイション[いのちのことば社]取り扱い、2千750円税込)は、ゴスペルシンガー、ヴォーカリストKishikoが歌うジャズの名曲を中心とした一枚。ピアノの師匠という土井一郎(録音後に逝去)の演奏がしっとりと軽やかな音で支える。ジャズ、映画音楽、ソウル、ポップスなど多様なジャンルが一続きの景色のように連なる。「弾き過ぎない歌い過ぎない音楽」をめざし、力まず、ハスキーな歌声で、夢、愛と寂しさのテーマを歌い、余韻を残す。その中で“What A Firiend We Have In Jesus”や“Jesus Loves Me”など賛美歌のアレンジがきらめきをみせる。