国際NGOワールド・ビジョン(WV)は4月8日、「新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、3千万人の子どもたちの命を脅かします」という主旨の緊急報告書「Aftershocks」を発表した。
本報告書は2014年から16年にかけて起こったエボラ出血熱の感染爆発に対し、WVが実施した大規模な緊急支援の経験のもと、COVID-19感染拡大により世界の子どもたちが受ける悪影響を分析し、まとめたもの。分析の対象国は、国連が発表したCOVID-19人道支援計画で最もぜい弱とされる24か国とする。
主な内容は、感染拡大により保健医療システムが崩壊し、▽COVID-19以外の病気にかかった際に治療を受けられなくなる、▽本来受けるべき各疾病の予防接種を受けられなくなる、もしくは接種が遅れる、▽食料不足によって栄養不良が増加する、とし、上記のことが発生した場合、約3千万人に上る子どもたちが影響を受けると想定。うち予防接種を受けられず、結果として深刻な疾病にかかりやすくなる子ども2千600万人、重度の栄養不良に陥る子ども500万人(現在の4割増)、マラリアに感染しても治療を受けられずに死亡する子ども10万人(現在の5割増)と具体的な数を挙げ、さらに子どもたちを含む人口の多くが極度の貧困と生命を失う危険にさらされると警告した。
本報告の発表にあたり、アンドリュー・モーリーWV総裁は、「ぜい弱な環境にある国、地域においては、こうした副次的な事由が子どもたちの命を危険にさらすことが危惧される。我々はまさに今、行動することが求められる」、イザベル・ゴメスWV人道支援グローバル・ディレクターは「紛争や貧困によってすでに疲弊している国、地域に住む人々にとっては、壊滅的な影響を及ぼすものであり、こうした場所で生きる子どもたちが最も大きな代償を払うことになってしまう」と訴える。
WVでは、今年1月にアジア地域での緊急支援活動を開始。3月には活動国を、アフガニスタン、バングラデシュなど、2千250万人(うち半数が子ども)が住む最もぜい弱な17か国に広げた。この緊急支援のために約86億円の資金を必要としている。
国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンは、17か国の支援のために「COVID-19新型コロナウイルス緊急支援募金」を募っている。募金申し込みはウェブサイトURL https://www.worldvision.jp/から。問い合わせはTel0120・465・009。

(写真提供=ワールド・ビジョン)