「全人医療」で地域に仕え65年 祈り支えにコロナ禍に立ち向かう 大阪市東淀川区 淀川キリスト教病院

「淀キリ」の愛称で親しまれている宗教法人 在日本南プレスビテリアンミッション 淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)は、今年創立65周年を迎えた。まだ日本の医療体制の乏しかった1955年、米国長老教会の婦人会の誕生日献金を元に、医療宣教師として来日した故フランク・A・ブラウン初代院長によって設立された小さな診療所が母体となる。
ブラウン医師は「神の栄光と人の救いのために捧げられた病院」と、創立の思いを語り、「全人医療」の理念、すなわち「からだとこころとたましいが一体である人間(全人)に、キリストの愛をもって仕える医療」を掲げて礎とした。

左から鍋谷医師、石田医師

石田武理事長は「当時は医師会の反対にあったり、いろいろ大変な中で、人々の必要に応えてやっていくうちに、少しずつ病床数が増え、大きくなっていきました。様々な先駆的医療に取り組めたのも、当院ならではだと思います」と、振り返る。
「淀キリ」は、創立間もない時代から光の当たらない医療分野でパイオニア的役割を果たし、日本の医療に貢献してきた。周産期医療、ホスピス・緩和医療に先鞭(せんべん)を付け、さらに小児がんや難病の子どもたちのための「こどもホスピス」の草分けとなった。どこよりも一歩先を行く医療に取り組んできた病院だ。「各科の壁がなく、職員が協力的であるというのも、当院の特徴です。やはり、病院の成り立ちが他と違っていたからでしょう。アメリカの宣教師によってもたらされた伝統は今も受け継がれています」
現在病床数581床、老人保健施設100床の地域の中核病院として、救急・救命医療はもちろん、周産期医療から、総合的がん診療、脳・心臓・血管診療、ホスピス・緩和医療、予防医療、また高齢者介護事業まで、全世代の医療・福祉に対応できる医療チームと設備を備えている。これら人の生命の始まりから終わりまで「全人医療」を実践する働きを支えるのが、日々欠かさず捧げられる祈りだ。「淀キリ」の一日は、創立以来続く毎朝の礼拝から始まる。

淀川キリスト教病院

石田理事長は「65年間1日も休まず礼拝している病院は、世界でも当院だけだと思います」と、語る。、、、、、、、

2020年7月26日号掲載記事

淀川キリスト教病院のウェブサイトURL http://www.ych.or.jp/

病院の礼拝風景(平時)