8月16日号紙面:【新型コロナ関連】九州南部豪雨被災牧師リトリート 「霊・肉の励まし今後も必要」
九州南部豪雨被災教会の牧師招きリトリート 「霊・肉の励まし今後も必要」
九州南部を襲った豪雨で甚大な被害を受けた熊本県人吉市内にある被災教会の牧師に、霊肉共にゆっくりしてもらおうと、佐藤彰氏(保守バプ・福島第一聖書バプテスト教会牧師)を招いてのリトリートが7月29日から31日まで、熊本県益城郡益城町のホテル「エミナース」で行われた。主催は九州キリスト災害支援センター(九キ災)で、日本福音同盟(JEA)が支援した。【中田 朗】
リトリートに参加したのは、教会堂と牧師館が被害を受けた人吉バイブル・プロテスタント教会の森下薫牧師夫妻、牧師宅が完全に水没し、一時、避難所に避難していたトータル・人吉神愛キリスト教会の土肥洋子牧師。8月4日、オンラインで行われた情報共有支援会議で、リトリートに参加した九キ災理事の竹崎光則氏(日本イエス・日田福音キリスト教会牧師)は、こう報告した。
「特に被害の大きかった教会の先生方をお招きすることができた。東日本大震災で大きな痛手を追い、その中で支えられ、復興へと進んでおられる佐藤先生の信仰、慰めのメッセージを受けることができた。人吉以外でも、大牟田市の被害に対し支援しておられる有明バイブルチャーチのロバート&スーザン・ケイラ―牧師夫妻、芦北町の被害に対し支援しておられるトータル・水俣福音キリスト教会の神薗悟牧師夫妻も来てくださった。被災教会、支援教会の先生方が一緒に時を過ごすことで慰めを受けました」
2日目午後には熊本市内にある教会の牧師も駆けつけ、懇談の時をもった。「熊本の先生方は『オール熊本で支援していきます』と。被災地の先生方も心強い時であったと思う。特に今回は新型コロナ感染防止ということがあり、ボランティアも県内のみからとなっているので、県内、市内の先生方の尽力はとても大きい。そして夜の時間には、クリスチャンが創始者の『背骨コンディショニング』のトレーナーの方が来てくださり、背骨の歪みを整え、不調を改善する運動プログラムで身体をほぐしてもらうひと時もあり、気持ちの面でも身体の面でもリラックスしていただけました」
リトリートに参加した森下牧師は「霊的にも肉体的にも、ゆっくり休めたのが感謝だった。佐藤先生と一緒に熊本市内の湖の畔を散歩しながらお話しすることができた。佐藤先生は私たちより何倍もすさまじい体験をしておられるので、違った視点から自分を見る目が与えられた。本当にいい時間を過ごせました」と感謝した。
今回、リトリート参加を呼びかけたのは、人吉市内にある五つのプロテスタント教会で、うち参加は2教会から。九キ災理事長の横田法路氏(日本イエス・油山シャローム教会牧師)は、「第一回目は、ある教会にはいいが、ある教会にとっては早すぎるというタイミングだ。支援活動の真っ只中にある森下先生ご夫妻にとっては非常にいいタイミングだった。できれば、夏の疲れが出てくるであろう秋頃に、もう一回開きたい。その時には、今回参加できなかった先生方も、参加できるのではないかと思います」と話した。
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情報共有支援会議ではそのほか、大きな浸水被害に遭った大牟田市の支援について、九キ災スタッフの諸藤真喜子さんが報告した。「大牟田市でも三川地区とその周辺地域が千世帯以上、床上浸水に遭った。その地域にバプ連盟・有明キリスト教会(田中文人牧師)がある。教会には被害はなく、田中牧師の奥様が民生委員をしていることもあり、被災直後から地域を訪問して、必要な物資を届けておられる。その後方支援に九キ災が入っています」
「この地域は水害前から課題が多い。人吉のように土砂が入っているわけでもなく、見た目には日常が戻っている形に見える。しかし、被災されている方々の多くが日常を取り戻せないまま、日々の片づけに追われている。祈りが必要」と諸藤さん。「田中牧師も、物資の提供と共に霊的な魂の支援が必要だと語っていた。霊的支援をするために、物資を携えていきたい」と語った。
九キ災本部長の市来雅伸さんは、浸水被害に遭った人吉バイブル・プロテスタント基督教会での支援活動を報告。「今は36度の猛暑の中での作業。熱中症を避けるため、十分な水分補給と、10分作業し10分休むペースで行っている」と言う。
「現在は、教会堂の床はがしがほぼ終了し、牧師館のほうの作業をしている段階。作業は8月いっぱいかかる。人吉でのベースを開いての支援活動は9月末までを考えている。その後はニーズに応じて、人吉の社会福祉協議会との連携のもとで行うことを考えている」と今後の見通しも語った。
九州南部豪雨の支援活動については、九キ災のフェイスブック(URL https://www.facebook.com/kumamotoshien/)で随時配信している。