映画祭のポスターに使用された、雨に打たれ祈るシーン

日本救世軍の父と呼ばれる山室軍平の生涯を描いた映画「地の塩 山室軍平」(東條政利監督、公式サイトURL http://yamamuriogunpei.com/)が、8月30日から9月9日にかけてイギリスで開催された「ロンドン I WILL TELL 国際映画祭」で「ヴァンガード賞」を受賞。軍平を演じた森岡龍さんが主演男優賞を受賞し、軍平の妻・機恵子を演じた我妻三輪子さんが主演女優賞候補3人のうちにノミネートされた。
映画では、キリスト教と出会うことにより、娼妓自由廃業運動、労働紹介所の設置、歳末慈善鍋(社会鍋)、児童虐待防止運動など、様々な活動を通して人助けに邁進(まいしん)していく信仰に一途で純粋な軍平の生涯を描く。審査員は「信仰を持つある男の葛藤と情熱を描いたまれに見る映画だ。スピリチュアルな内容だが、そのメッセージはクリスチャンでない人や宗教を持たない人にも理解できるものだ」と講評した。
日本時間で9月10日午前3時から、Zoomを通じて行われた授賞式には、東條監督、森岡さん、我妻さんが登壇。森岡さんは「俳優を17年してきたが、こういう賞をいただくのは初めて。時々、心が折れそうになったりするけれど、軍平もいろんな山、谷がある中で自分の信念を貫き通す姿にインスピレーションを受けた。軍平は『最も大いなるものは愛だ』と言った。この作品を通し、コロナで悶々とし、困惑と不確かに満ちた世界に、この愛のメッセージが届くことを願う」、東條監督は「軍平を描いたことで映画祭で認められたと思っており、また救世軍はじめ、場所を貸してくれた同志社大学、また多くの方々に支えられてできた映画。僕が代表してしゃべっているが、映画に協力してくださった皆さんがもらった賞だと思っている」とスピーチした。
ライト大佐役として映画にも出演した救世軍日本司令官のケネス・メイナー大佐は、「この受賞は日本だけでなく、世界の救世軍にとっても喜ばしい出来事。今、世界各地の救世軍で上映できないか連絡を取っている」と話す。「軍平の生涯を語り部として伝えてくださった東條監督に感謝している。キリストの愛に動かされ、多くの人々に感化を与えた軍平の姿を通して、私も神様の愛を困難な状況にいる方たちにも伝えたいと働きに加わる人が起こされることを願っている」とも語った。
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「ロンドン I WILL TELL 国際映画祭」は、隠され、忘れられ、無視されたりした力強い本物の物語を、世界中の人に知らせることを目的とし、挑戦的な視点と変革的な方法でインスピレーションとモチベーションに貢献する、短編アニメから長編ドラマまでの様々な映画作品を集め、毎年開催されている。

廃娼運動のシーン
山室役の森岡さん(右)と妻・機恵子役の我妻さん