アンテオケ宣教会 オンラインで世界宣教セミナー コロナ禍で進む神の宣教

アンテオケ宣教会主催による「第19回世界宣教オンライン・セミナー」が、9月22日、関西聖書学院(奈良県生駒市)を会場に、Zoomによる参加者を加え、世界各地の宣教地を結んで開催された。当初は、例年通り2泊3日の対面によるセミナーが予定されていたが、感染症拡大の影響を受け、オンラインにより1日の開催になった。今回のテーマは「《共に生きる》ニューノーマル時代に変化するコミュニケーション」。海外からの参加者も含め、例年を大きく上回る300人以上が参加した。

開催前、昨年総主事に就任した大田裕作氏に、今回のセミナーの狙いを聞いた。「目的は、宣教師候補者の掘り起こしと日本の教会への海外宣教の啓発。今まで、ミッショントリップとセミナーを隔年で行うなど、様々な取り組みをしてきたが、今回はオンラインによる開催にした。その結果、参加者は大幅に増えた。テーマ設定もコロナを意識しての言葉遣いになっているが、宣教方法、形態、対象、意識の変化も反映している。昨年アフガニスタンで亡くなった中村哲氏に学ぼうとするのは、世界宣教を一部の宣教師のものとせず、日本のクリスチャンがクリスチャンとして広く世界に目を向けることを意図している。宣教師ビザでは入れない、イスラム圏、共産圏の宣教困難地では、今まで日本語教師として現地の大学に入るなどしてきたが、現地の協力者が語学教室を開いてくれれば、日本にいながら日本語の授業と宣教的なプログラムを提供することが可能になってきた。そして、現在日本の国で増加の一途にある外国人居住者。彼らの多くは宣教困難な国から来ており、彼らにも私たちは宣教の使命を持っている。教会全体が縮小傾向で、若者の数も少ないが、限られたマンパワーを最大限生かして宣教を模索している。コロナの中で今まで出来ていたことができなくなっても、かえって主が背中を押してくれているように思う」
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午前のセミナーではまず、各国に派遣されている宣教師からの報告・挨拶が、多くは現地と結んで行われた。アルゼンチンで32年働く在原繁・津紀子、韓国で32年働く三輪修男・文子、東南アジアの某国で10年奉仕する江藤みか(仮名)、南アジアで奉仕している佐川チエ(仮名)、アジアで5キロ圏内5村千500人だけの未伝部族に伝道するA、日本ベースでモンゴル宣教を行う高橋真一・千恵美の各氏。
主講演は「アフガンに捧げたDr.中村哲の生きざま」。1990年から中村氏と共に活動したペシャワール会PMS支援室の藤田千代子氏が語った。冒頭、重機を操作して河川工事に取り組む中村氏の映像。医師としてハンセン氏病患者の治療に取り組んだ中村氏は、戦争、かんばつ、天災により、家族を養うために傭(よう)兵に行かざるをえない現地の実情から「医療よりも井戸掘り」と考えるに至り、荒れ地を農地に変えるため大規模なかんがい用水路を建設。
通常、国際NGOは支援活動開始とともに出口戦略を計画する。しかし中村医師は自分の人生をここにかける、働ける限り働く、と決心していた。自分の尺度でなくあくまで現地の人の文化を尊重し、土着化した診療、活動、生きざまが語られた。
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夜の宣教大会では、国内外でイラン人に福音を伝えてきたB氏が、「コロナ時代に前進する神のみわざ」と題して証しした。
イランでは、イラン革命前の150年間、欧米の宣教師が宣教し、プロテスタントの教会が生まれていたが、革命時に全員撤退。イラン人牧師と信徒が礼拝を守り続けていたが、「革命後、8人の殉教者が出た。90年代はイスラム過激派に暗殺されるなど、教会は殉教の嵐の中を通った」。
21世紀以降、イランの教会指導者たちは、欧米の宣教師たちが残した会堂は閉鎖されていたので家の教会に集中し、家の教会がどんどん成長。2013年4月には、246人もの大洗礼式がイランの近隣国で行われた。
「この洗礼式を指導したのは、イギリスに本部があるエラムミニストリーズ創設者のサム先生だった」
家の教会はその後も急速に成長。「革命時は信者が約500人だったが、今は少なくとも120万人いる。成長率は2千倍以上で、世界最大の教会成長率だ」
その要因に、①聖霊の特別な働き、②革命前の欧米の宣教師による労苦、③革命後のイラン牧師たちの殉教、④ムスリムたちはイスラム原理主義者の政府、またイスラム教に幻滅している、⑤衛星テレビ、インターネットなどの活用、⑥エラムミニストリーズの多大な貢献、を挙げた。 ⑥に関しては「現代ペルシャ語訳聖書を翻訳出版したことが大きい。特に新約聖書ポケット版。この聖書は、在日イラン人伝道にも大いに用いられている」と証しした。
「コロナ禍でも主の驚くべき御業が進んでいる」とも話す。
「新型コロナ感染はシーア派の神学校のある町から始まった。家の教会はインターネットを最大限に活用し、40日間の祈りのキャンペーンを行った。そのキャンペーンには政府当局に捕まり5年間、刑務所で過ごしたF牧師も証しした。『私を捕まえたムスリムを赦します』という証しは反響があった」
最後にⅡテモテ4章から「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい」(2節)を引用。「日本も必ずリバイバルが起き、世界中に宣教師を送る国になる。御言葉を宣べ伝えよう」と励ました。
その他、井野葉由美(ドイツ)、安川圭吾・美穂夫妻(タンザニア)、長澤久美子(韓国)、ダニエル朴(韓国)、宇井英樹・由美夫妻(B国)、賀川千世美(南アジア)の6組のアンテオケ宣教会派遣宣教師たちが証しと現地報告をした。