止揚学園新しい西館

「知能に重い障がいがある仲間たち」が暮らす社会福祉法人汀会・止揚学園(滋賀県東近江市)に、仲間たちの住まいである新しい本館と、職員宿舎及び仲間たちの部屋もある西館が完成した。7月末に竣工し、現在39人の仲間の人たちは新しい環境にもすぐに慣れて、楽しく暮らしている。
新館構想から4年。仲間たちが生涯安心して暮らせる「家」を目指して、厳しい法的制約を乗り越えつつ、学園と設計施工会社が祈りと力を合わせて完成に漕ぎつけた。新型コロナウィルスの感染拡大でお披露目はできなかったが、多くの支援者に向けて「みんなのいえができました。ありがとうございます」と記された手作りカードと記念品が届けられた。設計監理は株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所。施工は三陽建設株式会社。

明るいリビング

本館は柔らかなピンク色、西館はシックなブルー。窓がたくさんあり、室内は光にあふれている。壁面や調度は止揚学園らしくカラフルで、リビングを中心に広がる仲間たちの部屋はみんな壁紙が違っていて楽しい。リビングはいつでもカウンターでお茶を飲みながらくつろげるお茶の間のような場所。どの部屋も広々とゆとりがあるのは、将来仲間たちの誰かが寝たきりになっても安心してゆったりと過ごせるようにと、設計当初から考えていたからだという。これは感染症対策にもかなう結果になった。
ヴォーリズ建築事務所の萩野亮さんは「単なる“福祉施設”を設計するのではなく“大家族が住まう家”を設計する感覚で」設計にあたったと記念誌に述べ、マタイ10章12~13節を掲げて、ここに住む人々の人生の平和を祈っている。

福井生園長は新しい建物を「生きる家」と名付けて定礎板に刻んだ。仲間たちが安心して年を取って生きていける家、仲間たちのいのちを優しく包んでくれる家「それはみんなの『生きる家』です」と、仲間たちと喜びを分かち合った。