コロナ禍の自粛の中で中断していた大阪クリスチャンセンターのOCCカレッジが9月19日、約半年ぶりに再開された。再開第1弾の講義は、大澤恵太氏(日本フリーメソジスト教団桜井聖愛教会牧師)による「オンラインでの礼拝」。講師の都合でオンラインでの講義となる中、20人余りの受講者が熱心に耳を傾けた。

オンラインを通じて話す大澤氏

まず最初に大澤氏は、「人と人とが顔を合わせることが良くないとされ、さまざまなコミュニティが門を閉ざすことを余儀なくされたこの状況を、教会は本質に立ち返る機会とできるのか」と問いかけ、そこから「礼拝とは何か」を実践神学に基づいて説明。「教会における礼拝の位置づけ」として、「教会は神のことばが語られる場所であり、その中心となるのが礼拝。それゆえ礼拝とは教会にとっての根源的な目的そのもの」と位置づけ、さらに共同体としての礼拝の原点を出エジプト記19章に見て「礼拝とは神と人とが出会う場所」と述べた。また礼拝の主要素を「神のことばと聖礼典」とし、そこに見られる「キリストとの合一としての礼拝」にはヨハネ15・4に見られる個人的合一と同12節の共同体的合一があるとした。「身体性を伴う共同体としての交わり」については、教会における身体性の大切さをキリストの受肉に基づくものとし、呼び出された人々の集合体としての教会におけるフェローシップの重要性を強調した。さらに黙示録21章からは「新しいエルサレムでの礼拝に向かう礼拝」という観点を提示。「牧会としての礼拝」については、「癒やし・支え・導き・和解」の4要素を示し、これらを「教会に委ねられている光栄ある責任」とした。このように礼拝の重要性を確認した上で、「そうした各要素をインターネット礼拝によっていかにフォローできるか」と問題提起した。
後半は、インターネット礼拝のあり方を具体的に分析。コロナ禍で思いがけず急速に各教会が導入したインターネット礼拝の可能性として、「遠隔地や病床などへのコイノニアの拡大」「地域的制約を受けないことからくる教会による宣教の範囲の拡大」「無牧兼牧の教会での活用」「礼拝堂の偶像化やプログラムの形骸化を見直すことによる礼拝の本質への回帰」「時間や場所を聖別している姿を示すことによる家庭における宣教の拡大」の5点を挙げた。一方で課題として、「礼拝の公共性とプライバシー保護のバランス」「集まる共同体としての教会の在り方」「科学技術的手段の導入の範囲」「特定奉仕者への負担の集中」「献金の献げ方」「インターネット礼拝の牧会的限界」の6点を示した。
さらに、コロナ禍が終息した後のポストコロナにおけるインターネット礼拝はコロナ禍におけるものとは異なるとし、「集まることの恵みを根底に置く」「目的と対象を教会全体で共有する」「会堂での礼拝を妨げない環境を確立する」「複数の奉仕者を育成する」「受け手のたましいを委ねられていることを意識した牧会的アプローチ」「受け手の献身を表明するための機会を意識した工夫」の6点を提言。
最後に「どこにいても語りかけてくださる神様は変わらない。霊とまことをもって礼拝するための一つの手段としてインターネットを活用していくべき」と締めくくった。
途中、パソコンのトラブルで講義が中断し、図らずもインターネット技術に依拠することの限界を示す場面もあった。各教会がその働きを継続し、さらに拡大してくために、考察を続けていく必要があろう。