神山みさ20周年記念アルバム「GOSPEL FOLK SINGER」ーー香り立つ祈りとみことばのブーケのよう
“祈りを捧げるシンガー” 神山みさのデビュー20周年記念アルバム「GOSPEL FOLK SINGER」(全10曲、2,500円=税別=)が11月1日にリリースされ、翌2日には東京・代々木にあるライブハウスGrapes Kitasanndoで20周年アルバム発売記念ライブ(会場参加20名限定、ネット配信ライブ)を開催した。「Little bird」以来5年ぶりの全曲オリジナルアルバムは、上京する前に生まれた楽曲から新型コロナ禍のなかで生まれた新曲までを収めたゴスペル・フォーク・シンガーとしての現在進行形を歌いあげている。10年前に“ゴスペル・シンガー”から“ゴスペル・フォーク・シンガー”を冠に掲げ、記念アルバムのインサートには収録曲の紹介にインスパイアされた聖書のみことばの個所が表記されている。まさに香り立つ祈りとみことばのブーケのように、いやしと励ましへの想いにつつまれる。
三浦綾子、星野富弘作品
から生まれた楽曲も収録
この20週周年記念アルバムには作家・三浦綾子の自伝小説『道ありき』にインスパイアされて生まれた同名曲と、詩画作家・星野富弘とのコラボ作品「空の底」が収められているのも大きな特色。
三浦綾子の著書との出会いは、高校を卒業後に語学留学で渡英したときに友人から薦められて読んだ『道ありき』。その感動を忘れないように書き留めた詩が「道ありき ー三浦綾子自伝よりー」。東京の音楽事務所からオファーを受けて帰国する前に生まれた曲が、20周年記念アルバムの冠を飾っている。
みことばに生かされみこころに導かれ
てきた歩みに感謝のリリースライブ
アルバム発売翌日に行なわれた記念ライブは、アルバムのジャケットと同じエメラルドグリーンの装いでオープニング曲は「新しい日ははじまる」。前半は、「Jesus」やメジャーレーベルデビューを果たしたアルバムのタイトル曲「月の雫」など節目を飾る楽曲を4曲セットリスト。後半は「GOSPEL FOLK SINGER」の収録曲を中心に歌い込んでいく。軽快な三拍子でゴスペル調の「愛のチカラ」ではオーディエンスからもクラップで応える。ニューアルバムの楽曲それぞれに曲想を得たエピソードと聖書のことばとの出会いが語られていく。「愛のチカラ」では人と他人(ひと)とが手をつなぎ何かを伝えたいと思ったときには“愛のチカラ”が働くのではないかと思ったという。インスパイアされた聖句はヨハネの手紙第一4章12節「私たちが互いに愛し合うなら、神は私たちのうちにとどまり、神の愛の全うされるのです」。
2010年に活動10周年記念ベストアルバム「Misa’s Song Book 2000-2010」(全17曲)をリリースしている。20周年記念アルバムでは、東日本大震災直後に被災地の仮設住宅への訪問活動から生まれ、アレンジを新たにした「祈っています2020」はじめ、未曽有の東日本大震災の被災地や新型コロナウィルス禍での出会いなどから生まれた楽曲にも惹かれる。新曲「比べない」は、ライブハウスのテーマ企画“お年玉”に触発されて生まれた子どもの頃の思い出とテモテへの手紙第一6章6節のメッセージが編み込まれている。コロナ禍でライブハウス休業やイベント中止の厳しい情況から生まれた「LOOK」にはマタイの福音書6章26節の天の父が自然の恵みや人との繋がりの中で豊かに養ってくださることを想い起させてくれる。一つひとつの楽曲が日々の歩みと聖書のことばを気負わない親しい空気感に包んでくれる。
記念ライブのアンコールに歌われた「私が旅立つ日」は、5年前に中東の紛争地域を取材していたジャーナリスト後藤健二(INDEPENDENT PRESS代表、日本基督教団田園調布教会信徒)さんが、イスラーム過激派のISIL(イスラミック・ステート、イスラム国)にシリアで拘束後に殺害された事件に心を動かされ、ペテロの手紙第一4章19節のみことばにしめされて生まれた楽曲。後藤氏のような突然の出来事で死を迎える人がいれば、病に臥すなど死を見つめながら地上での生を閉じる人もある。どのような情況に在っても、いつも傍に居てくれる“友・イエス”の名を呼び、“Nobody can take away my soul”と何者も奪うことのできない魂への御霊の導きと護りを謳う。
神山みさの詞は、ゴスペル(福音)に生かされて歩むことのシャローム(主の平安)な明日を感じさせてくれる。【遠山清一】