日常から離れ、神が創造された自然を近くに感じ、信仰を深め、様々な決心の場となってきたクリスチャン・キャンプ場。本来夏は青少年のキャンプが目白押しだったが、今年はコロナ禍で多くがキャンセルとなった。経営的にも大きな打撃となっている。本紙では紙上とオンラインを組み合わせ、連載で各地のキャンプ場に思いをはせる。その第十一回目、最終回。

 前回は ○キャンプと創造⑩ 利用が一番のサポート 蒜山バイブルキャンプ2020年11月6日

―沖縄県国頭郡今帰仁村(なきじんそん)にある、沖縄バプテスト連盟管理のクリスチャンキャンプ場北山荘は目の前に海が広がる。今年の新型コロナで利用者が激減。しばらくの休業を余儀なくされている。その状況とキャンプ場の意義について、同運営委員会委員長の石原信義さんに聞いた。

家族利用で必要経費を満たすのは厳しい

石原 3月下旬の利用から、夏まで団体はほぼキャンセル。大きな団体ほど慎重です。売り上げは例年の5分の1となりました。家族利用も推進しましたが、それだけで必要経費を満たすのは厳しい。11月からはしばらく休業にしました。

 

―国による緊急事態宣言解除後も、沖縄県ではクラスターが発生し、県は8月1日から独自に緊急事態宣言を発令。発令期間は、延長を重ねて9月5日まで続いた。

 

石原 キャンプ、宿泊利用が止まりました。一度予約が入ったところもあったのですが、参加者のご家族の要望などで中止になりました。

 

―春から夏にかけて利用者が少ない中、キャンプ場内の整備は続いた。

 

石原 沖縄は草の生え方が早いんです。一通り刈っても最初に刈ったところはまた生えてくる、というぐらいの勢いです。ですから、やるべきところはたくさんあり、今まで届かなかったところのメンテナンスも進めました。公的な助成金も12月までで、スタッフの雇用も難しい。沖縄バプテスト連盟には30弱の教会があり、ボランティアで管理をし、冬場を乗り越えていきます。

今の連盟があるのはキャンプがあったからと言っても過言ではない

―戦後の沖縄バプテスト連盟の歴史とともに歩んだ北山荘は、同連盟にとってかけがえのない場所だ。

 

石原 キャンプを通してどれだけ多くの牧師が献身したか。今の連盟があるのはキャンプがあったからと言っても過言ではありません。牧師だけでなく、信徒もここで養われ、教会を建て上げる働き人となってきました。多くの人がここで取り扱われて、信仰の決心をしてきました。子どもたちが数日キャンプを過ごし、最終日に決心を表明する。このことはキャンプが何事にも代えられないものだということを思わされます。日帰りプログラムなどもやるが、なかなか泊りがけのキャンプのような深まりがありません。数日を共に過ごす素晴らしさを知っている分、悔しい。とはいえ、コロナ禍が落ち着かないとしょうがないですね。

―キャンプ場再開への思いは募る。

 

石原 厳しい状況ですが、連盟として、キャンプ場をやめようとは考えていません。この中でどんな役割を果たせるか模索しています。今は温める機会だと思います。子どもたちの魂ためにも、ずっとキャンプをしないわけにはいかない。1年が限度。野外テントなど、なんとか工夫して、来年は何かをできないかと企画を考えています。各教会にとってもキャンプは、結束の機会。毎週の礼拝前後の短い時間だけではなく、寝泊まりして過ごすことができるからです。本来夏は、各教会の予約の調整が大変でした。

防風林を抜ければすぐに目の前が海

―キャンプ場の宿泊棟は4棟。チャペルもある。大きな特徴は海がすぐ近くにあることだ。

 

石原 防風林を抜ければすぐに目の前が海です。海から戻ればすぐに体を洗えます。海辺と一体化したキャンプ場は県内でもめずらしい。他教団教派、一般の個人客の利用もあります。

 

―ガジュマル、台風に強いフクギの木など沖縄ならではの植物がある。

石原 紅葉も無く、年中緑ですが、砂浜で夕日がよく見え、そこに情緒を感じられます。海辺での夕拝が定番です。きれいな夕日の中で、御言葉を読むと心がえぐられます。朝早く海で過ごす方もいます。

 

―沖縄の自然において避けられないのは台風だ。しかし近年変化も感じられるという。

 

石原 沖縄の人は、台風との付き合い方に慣れています。「この規模だったらこれくらいの風かな」と判断できます。7~10月が台風シーズンですが、日程に台風が重なればキャンプは中止になります。週末に台風が重なるときが多い、その月の収入が減るということはありました。ただ最近は、内地の方に台風が多くいっているようで、沖縄を直撃する台風は減った印象です。海面温度の変化など温暖化の影響を指摘する専門家もいますね。

 

―海にも変化が見られる。

石原 今もまだまだきれいですが、観光開発などの影響で、サンゴが死んでいるという報告があります。昔のキャンプ場を知る人は、「昔はもっと海がきれいだった」と語ります。夏場の直射日光はたしかに暑いですが、キャンプ場内の木陰に入れば、とても涼しい。暑い期間は7月~10月までと長いですが、最近は内地の気温が上がっているようで、東京から来る人が、『東京よりも涼しい』とおっしゃられることがあります。

 

祈りの課題

石原 コロナ禍の中で次世代がどう成長するのか。コロナ禍の収束をまず願うが、まだ続くだろう。コロナ禍の中にあっても、火を消すことなく、次世代の魂が成長し、教会が一致するような企画をする知恵が与えられるように。

経済的な必要はもちろんですが、今まで次々に利用客がいらっしゃった分、できなかったことがあります。より利用客の満足度が高くなる状態で再開できるように施設の整備を進めたいと願っています。

 

沖縄バプテスト連盟収容施設 北山荘 http://hokuzansou.jp/

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